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81 吟遊詩人

そして一週間連日更新~・・・

明日は休みます、ホントだよ

リョウとオリビアが食堂に入ると、客からざわめきがおこる。

やはり、貴族のカップルに見えるようだ。


しかも、リョウは均整のとれた体格に銀髪の整った顔立ち、

オリビアも年齢のわりに大人びた雰囲気がある淑女なので

まさにお似合いのカップルに見えるだろう。


リョウはオリビアをエスコートし、席につく。

イレーネに教えてもらった付け焼刃だが、おかげで

問題なく出来たようだ。


注文はオリビアにまかせる。

メニューを見てもどういう料理かわからないので仕方ない。


料理が来て食べ始めると、ステージに吟遊詩人が上がり

リュートのような楽器を弾きながら歌い始めた。

どうやら、定番の英雄譚のようだが、あまり上手くないし

声もよくない。


歌い終わって、客席を回りチップをもらおうとするが

大銅貨2~3枚(2~300円)ならいいほうで、

ほとんどもらえてない。

そして、リョウたちの席に来た。


チップを入れる帽子を差し出す吟遊詩人。


「お前は、人を楽しませる気があるのか?!」

身体の内側からのぼってくる衝動に、そう言ってしまうリョウ。


そして、吟遊詩人の首根っこを掴んで、ステージに行く。

ステージの陰で、収納バッグからブラッドウルフを見えないように

取り出し、牙を一本折る。


そして、吟遊詩人からリュートを取り上げ牙をピック代わりに

弦を弾いて調律する。


「まず、きちんと調弦しろ」

吟遊詩人を叱る。


そして、


「自由なんていらないさ♪」


リュートを弾き、高らかに歌い始める。

世界一と言われる男性ボーカリストを擁したグループの名曲である。

ボーカリストはリョウが生まれる前に死んでいるが

動画サイトを見て気に入り、CDも買っていた。


最初はざわついた客席も次第にひきこまれていく。

そして歌い終わった後は、大拍手である。


さらに、3曲披露した後、客からアンコールがくるが、

きりがなさそうなので、終る。


「チップは、彼にあげてください」

吟遊詩人にリュートを返し、牙のピックを渡しながら、

客席に向かって言う。


吟遊詩人は、牙のピックを震えながら受け取る。


席に戻ると、女性たち、うっとりである。

ジェシカなんて、目にハートが浮かんでいる。


「リョウ様、素敵でしたわ」

オリビアが言う。


「ありがとうございます。オリビア様、部屋に戻りましょうか」

オリビアの手をとる。


そのとき、


「おや、ノーレッジ子爵様の御令嬢ではありませんか?!」

声をかけられた。


声をかけた者を見ると、でっぷりと太った中年の男であった。


「あら、たしかムラーズ商会の・・・」

オリビアの知り合いらしい。


「おお、覚えていてくださいましたか。ムラーズ商会の

代表のミックでございます。ところで、そちらのお方を紹介して

いただけませんか」


「この方は、リョウ様とおっしゃる異国の賢者様です」


「賢者!!その若さでですか?!」


「あら、賢者様が見かけどおりのお歳とは限りませんわよ」

オリビアはわざとそう言うが、もちろんほぼ見かけどおりの歳である。


「リョウです。縁あって、ガリア辺境伯様の相談役を

やっております」

リョウが自己紹介をする。


「辺境伯様の・・・、そ、その略紋は?!」

ミックが服の略紋に気がつく。


「はい、辺境伯様の御母堂様ごぼどうさまからいただきました」


「なんと、それほど・・・」

『信頼されている』という言葉を飲み込むミック。


「では、失礼いたしますわ」

挨拶して、リョウの左腕を抱え込むオリビア。


リョウも挨拶して、護衛やメイドを伴って食堂をでる。


挨拶して、彼らを見送るミックの目には、なぜか憎しみが

うかんでいた。

まもなく映画も公開ですね。

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