08 モンスター
「さて、どこに降りようかの?!」
ライゼンが鏡のようなものを操作しはじめた。
異世界版スマホというところであろうか。
「それなりに平和な国で・・・首都よりも田舎がいいかの・・・
領主も人間的によさそうなところ・・・と・・・・。」
5分ほど鏡スマホ(仮称)を操作して、
「シルフィード王国ガリア辺境伯領、領主は脳筋ぎみじゃが
家族思いで部下や領民の評判も悪くない・・・うん、ここじゃな」
決まったようだが、そのとき
「お!事件が発生しそうじゃ!!」
「「「事件?!」」」
皆が、声を揃えてライゼンに聞く。
「領主の関係者をチェックしていたんじゃが、領都に向かって
移動しておる領主の姉の一行が向かう先にオーガとゴブリンの群がおる」
「オーガとゴブリン!!」
(いきなり定番モンスターキター)とか思ってしまうリョウ。
「オーガは巨体で怪力、ゴブリンは小柄ですばしっこい人間型の
モンスターということで合ってますか?」
念のため確認する。
「ああ、だいたいそんなとこじゃな。ゴブリンは普通の強さの兵なら
ほぼ負けることはないが、オーガは3人がかりでもやっとという感じかの。
オーガが3匹もおるから、あの護衛の数では、キツイじゃろうのう」
「いいね~~~!!お約束ってやつだ。
リョウ!ちょちょいと助けてやって、恩を売って、お近づきになれ!」
楽しそうなグラダイン。
「いや、いきなり実戦は・・・」
躊躇するリョウ。
「ヘタレなリョウ様も嫌いではありませんが、
そんなことでは、生き残れませんよ」
ナミカも同意する。
「一行がモンスターと接触した!!時間がないぞ!」
鏡スマホ(仮)を見ながら、ライゼンが言う。
「特訓もしたし、これだけの装備もあるんだし大丈夫だ。
自分を信じて・・・」
「わ!」
転移魔法陣を展開し、リョウの頭をつかむグラダイン。
つかんだ部分が少し赤く発光している。
「行ってこ~~~~い!!」
そのまま、リョウを魔法陣に放り込む。
「うわあぁぁぁぁ・・・・!!!!」
リョウの異世界出張のはじまりである。