78 襲撃
4日連続はないと見せかけて、今日も更新ですよv
現在、オリビア一行は街道を時速15kmほどの速さで
進んでいた。
襲撃があるかもしれないので、警戒しながら進む。
今夜の宿泊予定の街まで、あと1時間ほどの場所で。
「停止してください!」
リョウが指示する。
一行が停止した後、リョウたちは馬車の外に出て話しはじめる。
「2kmほど先、路上に7人、その50mほど手前の左右に
3人ずつ隠れてますね。
挟み撃ちにするつもりじゃないかと思います」
リョウの説明に、
「はあ?!そんなことまでわかるのか!ジュリアのスキルも
すごいが、君のはさらにすごいな・・・」
護衛隊長が、あきれたように言う。
「ジュリア、見えますか?」
オリビアが聞く。
「まだ遠すぎます。せめてあと500mほど近づかないと・・・」
とジュリアが答えたところ、
「ジュリアさん、身体に触っていいですか?」
リョウが言う。
「え?!そ、そういうのは、や、宿に着いてから・・・」
顔を赤くして、うろたえるジュリア。
「あ!ご、ごめんなさい、そういう意味じゃなくて、身体強化を
かけるのに必要なんです」
リョウの顔も赤くなっている。
「身体強化を他人にかけられるのですか?!!!」
オリビアが驚く。
「私の身体強化はスキルじゃなくて魔法ですので。
ジュリアさん、背中に触りますよ」
そう言って、ジュリアの背中に右手をあて、魔力を流し込む。
「え、え、あ、ああ・・・」
背中から体全体に何かが這いよってくるような感触に
変な声をだすジュリア。
そして、
「あ!見えます!たしかに、道の両側の草むらに3人ずついます。
1人はローブに杖なので魔法使いかと」
それを聞いて隊長が言う。
「隠れてやりすごした後、後ろから馬車に魔法を打ち込む
つもりだな。さて、どうするか・・・」
「まずは、皆さんにも身体強化をかけましょう。
感覚が違ってくるので、少し身体を動かして慣れてください」
リョウは、全員の背中に手を当てて、強化していく。
そして、方針を決めた後、一行は再び進み始めた。
荷馬車が横転して、道をふさいでいた。
そのそばには農民風の男が3人、立っている。
荷馬車の陰には、剣や槍などの武器が隠されており、
道の左右の草むらには、武装した男が4人隠れていた。
そこにオリビア一行が近づいて来る。
「よし、打ち合わせどおり、俺が助けを求めて足止めする。
そして、魔法使いがファイアーボールを馬車に打ち込んだら
一斉に攻撃だ。1人も生きて帰すな!!」
そう言った農民風の男の1人がオリビア一行のほうに歩きながら、
両手を上げ大きく振って叫ぶ。
「お~~い!!止まってく・・・ぐげっ!」
男の胸には矢が刺さっていた。
ジュリアが馬上から弓で射たのである。
それを合図に、護衛の騎馬たちが突撃し路上の残った2人に
槍で襲い掛かる。
「ぐわっ!」
「ごはっ!」
さらに、馬車の後方を押さえる役目の3人に、草むらを歩いて
回り込んできた護衛2人が攻撃する。
魔法使いのいるほうの3人は、リョウが引き受けた。
峰打ちで3人ともあっさり倒すが、剛斬丸の峰打ちなので、
全員、骨折である。
魔法使いは特に念を入れて両手両足を折っておく。
ひどいとは思うが、縛ったりしている余裕などない。
ジェシカはさらに、倒れた荷馬車の左右の草むらに潜んでいた
4人も次々と射ていく。
スキルの上に身体強化されたジュリアにとって、草むらなど
何の障害にもならない。
見晴らしのいい広場にしゃがんだり伏せたりしているようなもので、
動かないただの的だ。
他の護衛たちも、リョウの身体強化で動きが段違いである。
そして決着が付いたと思われたとき、リョウが突然、
全速力で走り出した。




