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72 モヤモヤ

「すいません、一週間ほど前にハンターになったばかりなもので」

まず、下手に出て、相手がどんなふうにのってくるかを見ることにする。


「一週間?!そんな初心者が護衛なんて出来るわけないだろ!

Cクラス以上のハンターしか護衛は受けられないことになってるんだ」

説明してくれるところをみると、わりといい人かもしれない。


「私がBクラスだとしたら、どうなります?」

ついでに聞いてみるリョウ。


「はあ?!お前みたいな若造が、しかも一週間前に登録した奴が

Bクラスなわけないだろ!!馬鹿にしてるのか!」

怒鳴る中年ハンター。


そのとき、どこからか小さく

「え?!Bクラス・・・一週間前?!」

というつぶやきが聞こえた。


そして、怒らせてしまったかな?!とリョウが思ったとき、


「待て!!待ってくれ!!」


他のハンターがあわてて割り込んできて、中年ハンターを

リョウから引き離す。


「す、すまねえ!!こいつも悪気があって言ったんじゃないんだ。

気を悪くしないでくれ」


「おい!何を言って・・・うぐ」

割り込んだハンターに腕を掴まれた中年ハンターは、振りほどこうとしたが、

さらに逆の腕も他のハンターに掴まれ口をふさがれた。


「悪かった!あんたがBクラスだということはわかってる。

こいつには言い聞かせておくから、ここは穏便に済ませてくれ!」

逆の腕を掴んだハンターが言う。


リョウがBクラスであることを知っているということは、

ガリアでの登録のときにあの場にいたのであろう。

そう察したリョウは、素直に引き下がることにする。


「いえいえ、いろいろ教えていただいてありがとうございます。

お騒がせしました」

そう言って、リョウはギルドを出る。


特に騒ぎを起こしたり暴れたりしたいわけではなかった。

ただ、お約束を体験してみたかっただけであるが、

中途半端な結末で、微妙にモヤモヤするリョウであった。




「おい!いったいどういうことなんだ?」

ギルドからリョウが出て行って、拘束から放たれたおっさんが

止めた2人に聞く。


「ふう・・・」

冷や汗を服の袖でぬぐいながら1人が言う。

「お前にも話しただろう、『オーガ殺しの大剣使い』」


「ああ、とんでもない大剣を軽々と振り回して、オーガ3匹を

真っ二つにしたというやつか・・・まさか・・・」


2人がうなづく。


「嘘だろ!そりゃ鍛えられた身体はしてたが、細身でとても

身の丈ほどもある大剣を振り回せるとは思えないぞ!」

中年ハンターは、信じられないようだ。


「俺たちだって、実際に見てなけりゃ信じられねえよ!」

「もし、お前が調子にのって『腕試しをしてやる』とか言って

修練場に連れていったりしてたら・・・」


「してたら・・・」

中年ハンターが、ごくりと唾を飲む。


「下手すりゃ真っ二つだ」


中年ハンターの額に冷や汗が浮き出る。


「まあ、10シル硬貨ハゲで済ませてくれるかもしれないがな。

はっはっは・・・」

笑いながら言うが、その笑いはぎこちなく微妙に引きつっていた。


「おい、カレン!それは本当なのか?」

その会話を聞いていたハンターの1人がぽっちゃり受付嬢に聞く。


「すみません、個人情報は、当人の許可がないと公開できません」

カレンと呼ばれた受付嬢が答える。


「ちっ、仕方ねえなぁ・・・」

受付に背を向けるハンター。


カレンは受付から離れ、事務室に入り書類を確認する。


それには、骸骨竜スケリトルドラゴンとリッチーの討伐、そして

昨日の盗賊11人の捕獲について書いてあった。

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