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67 メイフィールド

メイフィールド領の領都バルダは、この地域の商業の

中心地である。

領主館を中心として、東西南北に主要道路がはしっており

主要な地域は、きちんと升目状に整備されていた。


バルダに入ったアンジェリカ一行の馬車が領主館に入り

玄関に横付けされる。


馬車のドアが開き、レイナ、リョウ、クラリスの順で

最後にアンジェリカが降りてくる。


屋敷の入り口にはメイドたちが並び、メイフィールド伯が

正面に立って婦人を出迎える。


「おかえり、アンジェリカ」

「ただいま、クロード」

メイフィールド夫妻がハグをする。


「クロード、こちらがが手紙にも書いたリョウよ」

ハグを解いて、アンジェリカがリョウを紹介する。


「リョウです。よろしくお願いします」


「クロード・M・メイフィールドだ。妻たちが世話になった」


「いえ、こちらこそ、いろいろと教えていただきました。

ところで・・・」

リョウがメイドたちのほうを見る。


「そちらのメイドさんたち、くっつきすぎではないでしょうか?!」


リョウの指摘どおり、メイドが不自然に間を狭く立っている。

まるで、何かを隠すように。


「腕試しのつもりでしょうが、間違いがあると危ないので

やめていただけませんか?!」


メイドが左右に分かれ、その向こうに隠れていた男がでてきた。

右手には訓練用の刃びきの剣を持っている。

「ほほう、気がついていたか。たいしたものだ」


リョウは、そちらを気にしないで、右手を上げ親指で

右後方を指す。

「そこの植え込みに隠れている方も出てきてください。

たぶん、そちらがおとり役でしょうが、無駄ですので」


ザッ!

植木の陰から小柄な者が出てきた。

「なぜ、わかった?」


声から判断すると若い女性だろう。

黒っぽい服を着て、ナイフを両腰に差し、覆面をしている。

忍者と言いたいところだが、さすがにそうは言わないだろう。


「ほう、エレールの隠形おんぎょうまで見破るか」

メイフィールド伯爵が感心したように言う。


たぶん、植え込みに隠れていた女性が注意をひき、その隙に

男がメイドを押しのけ襲い掛かる予定だったのだろう。


「だから何だと言うのです?!前後から同時にかかれば・・・」

メイドの陰に隠れていた男が言うが。


「無理」

エレールと呼ばれた女性が降参とでもいうように両手を上げる。


「エドワード様が10人いたとしても無理、格が違いすぎる」


「なんだと!!」

エドワードと呼ばれた男が怒るが・・・


「エドワード!茶番は終わりだ!!」

伯爵が叱りつけ止める。


「リョウ、すまなかったね。夕食にしよう、着替えてきてくれ」

屋敷に入る伯爵夫妻。


「どうぞ、こちらへ」

リョウもメイドに案内され屋敷に入る。


残りのメイドも屋敷に入り、デルムッドたち護衛や

馬車も移動していった。


後に残ったエドワードがエレールに聞く。

「さっきの『10人いても無理』とは、どういうことだ?」


「言った通り。あの男、強すぎる。辺境伯様並」

エレールが答える。


「シュタイナー叔父さん並?!」

自分が最強の男と憧れる叔父と同等という言葉に驚くエドワード。


実際、シュタイナーは王都で開かれる武術大会で

何度も優勝している。


「剣格闘だけの武術大会なら辺境伯様がたぶん勝つ。

でも、魔法でも何でもありなら、たぶんあの男が勝つ」


エレールは、メイフィールド領軍で、スカウトと言われる

情報収集・強行偵察を任務とする者だ。

そのため観察力が高い。


まとっている魔力がとんでもない密度。あんなの初めて見た」


「相手の力量を見抜くことにかけては、軍で一番のお前が

そこまで言うのか・・・」

エドワードは、納得したようである。


「とりあえず、あいつから目を離すな」


「わかった」


そう言うと、エレールは闇に消えて行った。

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