63 姉
「それで、依頼主は誰なのだ?」
シュタイナーたちもサロンに来て、指名依頼のことに
ついて話している。
「それが、依頼主も依頼内容も王都ギルドに来てから話すと」
リョウが、依頼状をシュタイナーに見せる。
「エリックさん、こんな怪しい依頼、断っても
いいですよね?!」
リョウがエリックに聞く。
「いや、ある意味、逆に怪しくないんだ」
「え?!」
「こんな依頼、普通は受け付けられるはずがない。
なのに、こうして依頼がきてるということは、
王都ギルドがそれを認めているということだ」
エリックが説明する。
「なるほど、依頼主は相当高い身分か、権力者と
いうことですね・・・」
「あ~~~!まったく、男ってバカじゃないの?!」
アンジェリカがあきれたように言う。
「こんなところでウダウダ言っててもわかるわけないじゃない!
行って確かめれば済むことでしょ」
「まあ、そのとおりなんだが・・・」
シュタイナー、相変わらず姉には弱い。
「リョウ、うちのメイフィールド領は王都までの通り道だから、
一緒に来なさい。うちで一泊した後、王都に向かえばいいわ」
「え~~、リョウ、王都に行っちゃうの~~?!」
フェルナンデスが右手をひっぱる。
「ダメですわ。リョウはずっと一緒にいるのですわ」
左腕はマリエールである。
「すぐに帰ってまいりますから」
リョウはそう言いながら、2人の頭を撫でる。
ほんとに、かわいすぎる。
(しかし、2~30年後には、ああなるんだよな~・・・)
と思い、ついアンジェリカとシュタイナーを見てしまった。
「リョウ、何か言いたいことがあるの?!」
と、アンジェリカ。
「いえ、お言葉に甘えて、泊まらせていただきます」
「リョウが一緒なら帰り道も安心だし、メイフィールド伯に
いろいろ話もしてもらえるわね。
あ、シュタイナー、蒸留器、1つ頂戴」
「ぶっ!!」
噴出すシュタイナー。
「姉さん、いきなり何を言うんだ?!」
「3つもあるんだし、いいじゃない。もちろん代金は払うわよ。
リョウ、メイフィールド家で説明頼むわね」
アンジェリカ、やりたい放題である。
「そういうことで、明日の朝、リョウは私達と一緒に
メイフィールドに行くわよ。シュタイナー、リョウに
今までの報酬なんかを払っておくのよ」
「ああ、もちろんだ。リョウ、いろいろ助かった。
必ずまた戻ってきてくれ」
「お世話になりました。必ず帰ってきます」
リョウは子供たちを撫でながら言う。
「エリックさん、茶畑をお手伝い出来なくて、すみません」
「いや、骸骨竜の件だけでも十分に助かったよ。
君がいなかったら、犠牲者がどれぐらいでたかわからん。
ありがとう」
エリックは右手を差し出し、リョウと握手する。
「緑茶の本格的な淹れ方も説明したかったのに、残念です」
「何??!!!!!!!!」
エリックの目の色が変わる。
余計なことを言ったと思ったリョウだが、もう遅い。
「シュタイナー、リョウを借りるよ!」
そのまま、冒険者ギルドのギルド長室へ連行されるリョウ。
途中で、鍛冶屋に寄らせてもらい、ガラント用に作った
60度の蒸留酒を渡し、王都へ行くことになったことを話す。
なんとか、2時間ほどで解放されたリョウであったが、
エリックはとても満足そうであった。
アンジェリカのモデルは、うちの姉です。
ある日の話(実話)
姉の家に行くmak。
姉「これ開けてちょうだい」
ガラス製の醤油差しを渡す。
キュ、ポン。簡単にふたをとるmak。
姉「なぜ開ける!」
mak「開けろって言ったじゃん!」
姉「私が苦労していろいろやって開かなかったんだから
あんたも30分ぐらい苦労してから、やっと開けろ!」
「姉」と書いて「理不尽」と読むのです。




