58 プリン
軽く昼食をとったリョウたちは、鍛冶屋に来ていた。
「ガラントさん、いますか~~?!」
店に入り声をかける。
「おう、リョウか。蒸留器の具合はどうだ?」
ガラントが答える。
「上々です。というわけで、どうぞ。」
ウイスキーの瓶を2つ差し出す。
「おお!待っておったぞ!!」
受け取るやいなや、瓶のふたを開け、そのまま
ウイスキーを飲むガラント。
「うむ、悪くないが、やはり、こっちの強いほうがいい。
リョウ!もっと強いやつは作れんのか?!」
「作れますが、とりあえずはこの2種類でいこうかと
思ってます」
「ダメじゃ!!わしからの特別注文ということでも
ええから、作れ!金は出す。」
リョウは少し考える。
(もともとブランデーやウイスキーの原酒は
50~60度ぐらいあるのだし、作ってもいいか)
「わかりました、作りましょう」
「おお!頼むぞ」
「それから、蒸留器を1セット、追加注文お願いします」
「うむ、わかった」
「あと、量産用の蒸留器の話や契約もしないと
いけませんので、一度領主館に来ていただけませんか」
「そうじゃの、蒸留してるところも見たいし、
追加の蒸留器が出来たら持っていくことにしよう」
「はい、よろしくお願いします」
あとは適当に買い物をして、領主館に戻る。
お茶の時間のお菓子作りである。
作業小屋ができて、流しもかまどもあるので、
料理人たちに見られながら調理室は使わなくてよくなった。
いずれは、レシピを教えるつもりであるが、この世界の
材料での試作段階なのであまり見られたくないし、
試食させろという視線がウザイ。
さすがにジャガイモは飽きたので、今回は王道の
プリンである。イモモチはまた今度と。
卵、牛乳、砂糖を混ぜて裏ごしして食感をなめらかにする。
さらに、砂糖を麦芽糖に変えたものも作る。
麦芽糖で問題ないなら、はるかに安く作れるからだ。
1人分が砂糖と麦芽糖を使ったもの1つずつの2つなので、
卵液を容器に少なめに入れる。
そして、蒸し器がなかったので、湯せんで固める。
いずれ、ガラントに蒸し器を作ってもらおう。
プリンが固まる間に麦芽糖を小鍋で加熱、焦がして
カラメルソースを作る。
今回のカラメルは、後がけである。
プリンが固まったら氷水で冷やす。
やはり冷たいほうがおいしいだろう。
冷えたら、砂糖タイプ、麦芽糖タイプを色違いの皿にのせ、
カラメルをかけて出来上がりである。
あとは、収納バッグに入れておく。
残しておいた1つずつを半分にして、レイナと試食。
うん、砂糖のほうがおいしいような気がするが食べ比べないと
わからないぐらいだから、麦芽糖でいいかな?!
まあ、皆の感想次第だが。
「どちらも、おいしいです」
レイナも、満足そうだ。
お茶の席に行くと、予想通りシュタイナーもいた。
はいはい、ちゃんとあなたの分も作ってありますよ。




