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55 蒸留

「さて、蒸留器を組み立てますので、手順を覚えてください」

リョウがレイナとアメリアに言う。


まず、かまどの上の開き窓を開け固定する。


外に出て、2mほどの銅菅をとりだし、蒸留器のふたに

ついている菅とつなぐ。


銅菅の反対側に100°ぐらいにゆるやかに曲がった

先端を取り付ける。


先端近くの銅菅の金具に三脚を取り付ける。


かまどに蒸留器本体を乗せ、本体の容量の半分ぐらい

約10Lのエールを入れる。


蒸留器にふたをして、金具で固定。


三脚を調整して、銅菅を安定させ、先端から出てくる

蒸留酒を受けるための銅の容器を設置して完成である。


蒸留器は2セットあるので、もう1セットはレイナと

アメリアの2人に組み立てさせる。


「そこ、無理をしないでゆっくりはめ込んでください。」

「動かないように固定されてるか、確かめて・・・」

など、少しの指示で問題なく組み立てられた。


かまどに火を入れ加熱する。


レイナに火の番をさせ、リョウとアメリアは、水の入った

ヤカンを持って外に出る。


「レイナさん、沸騰しはじめたら、火を弱くしてください」

「アメリアさん、このあたりを触って、少し熱くなったと

思ったら、水をかけてください」

銅菅の先端から1/3ほどを触りながら、リョウが指示する。


要するにこの銅菅が冷却器である。


そのままで空冷、ヤカンの水で水冷というところであろうか。

寒い季節なら水冷はあまり必要ないかもしれない。


数分ほどで、銅菅が熱くなり、先端から蒸留酒がポタポタと

落ち始める。


蒸留酒がそれぞれ2Lずつほどたまったところで終了し、

50mlほどをグラスに入れ、酒神の加護持ちである

執事のアルフレッドのところに行く。


「アルフレッドさん、最初の試作ができましたので

チェックをお願いします」


「かしこまりました」

グラスを受け取り、蒸留酒を口に含むアルフレッド。


「ふむ、やはり出来たては、味気ないですな。

度数は、19度少しというところでしょうか」


「19度ならアルコール濃度としては、まあまあですね。

あとは、熟成させたり、もう一度蒸留したらどうなるかですね」

リョウが、アルフレッドの評価に対しての感想を言う。


「熟成ですか」

「はい、環境的にワイン倉に置いてほしいので、そのときは

お願いします」

「かしこまりました」


アルフレッドと別れ、作業小屋に戻ったリョウは、残ったエールで

もう1回、同じ作業を繰り返し、さらに蒸留酒4Lを作った。


できた蒸留酒のうち2Lをとっておいて、残りをさらに

蒸留してアルコール度数の高いものが2L余り出来た。


アルフレッドにチェックしてもらうと、度数は40度ほどであった。


出来た2種類の蒸留酒を何本かの瓶に入れる。


麦芽糖は、完全に変化させたいので、明日までそのままである。

盗まれたりするといけないので、リョウの部屋に運んでおいた。


こういうときには、時間停止効果があるので収納バッグは

使えない。


あとは、今日使った機材を洗って終了である。


「アメリアさん、これメイドのみなさんでどうぞ」

そう言って、リョウは残りのポテトチップスを大皿に入れ

アメリアに渡す。


「まあ、ありがとうございます」

ルンルンで、メイド部屋に戻るアメリアだったが、

そこに悪魔が忍び寄っていた。

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