表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/520

54 麦芽糖

朝の鍛錬と朝食のあと、リョウとレイナは裏庭の

作業小屋に行く。


アメリアが待っていた。


(いきなりメイド長かよ!)

どこかの芸人のようなツッコミを思うリョウ。


まずは、作業小屋のチェックである。


小屋は4m×5mほどの長方形で、中央に頑丈な

作業台があり、昨日届いたエールの樽が2つ乗っている。


西の壁の南側には棚、南の壁の中央にはドア、

ドアの両側には小さなガラス窓、東の壁には流し台と窓がある。


北の壁の西側にかまどが3つ、東側にもう1つのドアがあり、

かまどの上部の壁は板を上に押し上げる形で外に開くように

なっている。


まず、ジャガイモを流し台に出す。

「アメリアさん、レイナさん、ジャガイモを洗って

芽や痛んだ部分を取り除いて、半分に切ってください」


「はい」

「かしこまりました」

2人は返事をして作業に入る。


「あ、アメリアさん、ジャガイモ5個ぐらいは、

2~3mmぐらいの薄切りにして、水にさらして

ザルに上げて、乾かしてください」


「・・・かしこまりました」

アメリアは、一瞬意味がわからないという顔をしたが

素直に従う。


リョウは、作業台のエールを床に置き、石臼をだす。

石臼は球の1/3ほどを切り取って、切り口を丸く

えぐったような形をしていた。そのままでは不安定なので

木を井桁いげたに組んだ台の上に乗せるようになっている。


この大きさでは、全部石だと重すぎるので、軽量化のためだろう。

石のすり棒も上半分以上が木である。


2人が処理してくれたジャガイモをいて

小さくなったらる。


そのときリョウは気がついた。

『たぶん日本ではばちが使われるようになったので、

この形の石臼いしうすすたれて、うすが残ったんだ。

餅つきのうすは、くだけなら、石である必要が

ないので木になったのかな?!』


などと考えながら作業をしていくが、空気が重い。

レイナもアメリアも真面目なので黙々と作業を

こなしているためである。


静かさに耐えかねて、つい歌を口ずさんでしまうリョウ。

ジャガイモを細かくする作業にのせて、だんだん声が大きくなる。


10kgのジャガイモを全部すり潰すまでに、

10曲以上歌ってしまった。


レイナとアメリアものってくれて、『この前歌われた恋の歌を』

などとリクエストしていた。


それにしても、ちょっとおかしいと思うリョウ。


歌の上手さは、身体強化がかかわっているのかもしれないが

歌詞やメロディーをここまで覚えているものなのか?

ライゼン様、記憶力まで強化してくれたのだろうか?!


まあ、考えていてもわかるわけがないので、作業を続ける。


すり潰したジャガイモを5kgずつ鍋に入れ、水を加えて

かまどに乗せ加熱する。


焦げ付かないようにレイナとアメリアにかき混ぜさせる間に

リョウはモルト:麦芽をすり潰す。


まもなく鍋の中身はドロドロになり粘りがでてくる。

ジャガイモの皮などの不純物が混ざっているが、要するに

デンプンノリである。


火から下ろして、冷ます。


麦芽に含まれる酵素は65℃以上で壊れてしまうので

50~60℃ぐらいになるまで待って、すり潰した麦芽を混ぜる。


温度が高いほうが反応速度が速くなるので、保温のために

布でくるんで、棚に置き、デンプンが分解されて

麦芽糖になるのを待つ。


「一休みして、お茶にしましょうか。私はお菓子を

作りますので、アメリアさん、お茶を淹れてください」

リョウはそう言いながら、かまどに油の入った鍋を乗せる。


そして、さっきアメリアが薄切りにしたジャガイモを

油で揚げて、塩をふり、ポテチの完成である。


「どうぞ、食べてください。ポテトチップスといいます。

昨日のフライドポテトの親戚みたいなものですね」

そう言いながら、大き目の皿に乗せたポテチを

作業台の上に置く。


2人はポテチに手をのばし、つまみ、口に運ぶ。


パリッ・・・パリパリ・・・パリパリパリパリ・・・


「これも、おいしいです」

レイナが言う。


「フライドポテトのホクホク感もいいですが、

これのパリパリとした感覚もいいですね」

アメリアもおいしかったようだ。


そして、休憩も終り、次は蒸留酒である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ