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53 今日のサロン

サロンである。


「リョウ様、エール2樽、受け取っております。

それから、作業小屋が完成いたしました」

執事のアルフレッドが報告する。


「もう出来たんですか。では、明日から蒸留酒と麦芽糖の

製造にかかりますね」


「麦芽糖??」

シュタイナーが聞く。


「作ると言ってた甘味料の名前です。そういえば言って

いませんでしたね。すみません」

リョウが答える。


「麦芽を利用して作るので麦芽糖と呼ばれています」


「なるほど。砂糖やメープルシロップとは、どう違うのかね?」


「液状ですが、メープルシロップより粘りが強いです。

棒でからめてそのまま舐めたりもするので水飴とも

呼ばれます。砂糖に比べて甘さは弱いですが

ここでは砂糖よりずっと安く作れるのが一番の利点かと」


「ということは、大量生産して一般販売も出来るということか」

シュタイナー、儲かりそうな話に食いついた。


「はい、量産することを考えておいてください」


「うむ、製造法が確立したら、知らせてくれ」


「それから、蒸留酒を造るにあたって、ドワーフ酒を

飲んでみたいのですが・・・」

リョウは、ドワーフ酒がどんなレベルの蒸留酒なのか興味があった。


「そうだな、アルフレッド、ドワーフ酒を持ってきてくれ」

「かしこまりました」


数分後、アルフレッドがドワーフ酒の入ったガラス瓶を持ってきた。

色は、ほとんど無色透明であった。


リョウは、グラスにつごうとするアルフレッドに言う。


「味見なので、ワンフィンガーでいいですので」


「ワンフィンガー?」


「指1本の幅と同じぐらいの高さまでお酒を注ぐことです。

だいたい30mlの量になります。蒸留酒はアルコール濃度が

高いので、それが一杯の単位みたいなものですね。」

リョウが説明する。


「なるほど、グラス単位では大きすぎるということか。

なかなか粋な数え方だな」

グラスに指をあてながら、シュタイナーが言う。


「蒸留酒を割らずに飲むため専用の、ショットグラスという

ワンフィンガーからスリーフィンガーの容量のグラスもあります」


「ほう、それも面白いな。ガラス職人に注文してみるか・・・」


注いでもらったドワーフ酒を口にふくみ舌の上でころがした後、

飲み込むリョウ。


「なるほど、焼酎しょうちゅうに近いですね」


焼酎しょうちゅう??!!」


「私が作ろうとしているウイスキーやブランデーよりも

アルコール濃度が低い蒸留酒です」


ウイスキーやブランデーは60度ぐらいの原酒を加水して40度に

焼酎は40度ぐらいの原酒を加水して25度ぐらいにするのが

一般的である。


「とりあえず、これ以上の品質をめざします」


「おお、期待しているぞ」

シュタイナー、ワクワクである。


「あと、明日の作業、手が足りないので手伝いの手配を

お願いしたいのですが」


「はい!私がお手伝いします!」

サロンに控えていたメイドの1人が手を上げる。


「あ!私がやります!

もう1人のメイドも手を上げる。


「すみません、力仕事もあるので、男性のほうがいいと・・・」

リョウがそう言いかけるが、


「大丈夫です!私、力仕事も出来ます!」

「わ、私も出来ます!」

2人とも、やる気ありすぎである。


「シュタイナー様・・・」

リョウは、シュタイナーに助けを求める。


シュタイナーは、少し考えて言った。

「アメリア、メイドの仕事、1人少なくても大丈夫かな?」


「はい、2人は無理ですが、1人なら大丈夫です」

メイド長の名前はアメリアと言うらしい。


「それなら、交代でやるようにしてくれ。メイドなら

身元がはっきりしているから、外部から雇うより秘密が

漏れにくいだろう。2人だと何かあったときに困るかも

しれないので、もう1人追加して、3人でやってくれ」


「では、追加の1人は、私がやらせていただきます」

なんと、メイド長のアメリアが名乗りをあげた。


「アメリア、君はメイド長だろう」

シュタイナーが言うが、


「だからこそ、リョウ様のなさることも把握して

おかなければと思いまして」

アメリアはそう主張する。


「う、うむ・・・アルフレッド、大丈夫かな?」


「私が屋敷にいるときなら、大丈夫だと思いますが」

アルフレッドが答える。


「では、その3人で交代してリョウの手助けをしてくれ。

順番はアルフレッドにまかせる」

「かしこまりました」


いよいよ明日から、作業開始である。

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