515 ゴジールへ
「2人ともベッドに放り込んできたッスよ」
酔いつぶれたイザベッラとヴァレンティーナを転移で運んだナミカが
戻って来た。
「ご苦労様。いろいろと、ありがとです」
「いえいえ、愛するリョウさんのためッスから、何でもないッスよ」
上目遣いで言うナミカ。
酔ってるせいもあって、なかなか色っぽい。
「えっ・・・?!」
思いもしなかったことを言われ、戸惑うリョウ。
・・・・・・
少しの沈黙の後。
「ナッ、ナミカさ~~ん!」
「えっへっへ~~っ!お返しッスよ~。じゃね~っ!」
「んっ、もう~~っ!またよろしく~~っ!」
ナミカの姿はかき消すように見えなくなった。
こうして地球産ウイスキーの酒盛りは終了したのであった。
翌朝、リョウたちは出発の挨拶をしていた。
「お世話になりました」
「いや、こちらもいろいろと助かったよ。元気でな、帰りを待っておるぞ」
とシュタイナー。
「君たちも冒険者に飽きたら、うちの軍に来てくれ。好待遇で雇うぞ!」
シュタイナー、昨日のことで3人娘を気に入ったようだ。
「はい、お世話になりました」
「そのときは、よろしく~」
「はっ、失礼いたします」
ジュリア、イザベッラ、ヴァレンティーナも挨拶する。
「リョウ、どうもありがとうね」
「必ず帰ってきてくださいね。待ってますよ」
イレーネとマーガレット、約束どおりリョウにエステをしてもらって
お肌ピチピチ、上機嫌である。
「やだ~~っ!」
「もっと、いてよ~~っ!」
マリエールとフェルナンデスが妖精のシャリアと別れたくないと
駄々をこねていた。
リョウたちが外に出ていた間、ずっと一緒だったのだ。
「ごめんね~、仲間のところに帰らないといけないんだ」
シャリアも別れを惜しんでいる。
そしてリョウたちは使用人たちにも挨拶して、シュタイナーの用意して
くれた馬車に乗り、辺境伯邸を辞した。
リョウたちを見送って落ち着いた後、執事のアルフレッドがシュタイナーの
執務室に来た。
「旦那様、リョウ様の置き土産です。必ずアイオロス親方と一緒に試飲を
してくださいとのことです」
アルフレッドが差し出したのは、地球産のウイスキーであった。
量産するのだから、やはり参考になるものがあった方がいいとリョウは、
考えたのだが、直接渡すと、『どこに持っていた?』とか『他にも
ないのか?』とか言われるに決まっているので置き土産としたのだ。
翌日、シュタイナーは、リョウの言葉どおりにアイオロスとともに
試飲をした。
そのあまりの美味さに驚く2人。
そして、残った地球産ウイスキーの奪い合いになるのであった。
「Aクラス冒険者のリョウ他3名だ。そちらの国で攫われた妖精を
こちらの国で保護したので、元の集落に送り届ける途中だ」
リョウにそう言われた国境の役人は、リョウの肩に乗ったシャリアに
驚くが、わりとあっさりと通してくれた。
(さて、ここにはどんな特産物が・・・じゃない、どんな文化を
進めるかな?!)
そう思いながら、ジュリアたちとともにゴジール共和国への国境線を
越えるリョウであった。
ニート更生プログラム 第一部
完
今度こそ、第一部・完です。
今後の予定は活動報告で。




