表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
519/520

514 ナミカ2

「改めて紹介するよ。この人はナミカさん。教会関係の人で、聖女様との

連絡なんかもしてくれてます」

リョウは、イザベッラとヴァレンティーナにナミカを紹介する。


「ナミカッス。今回のリョウさんと聖女様との婚約もあたしが暗躍した

おかげッスよ」

「いや!『暗躍』するなよ!」

とりあえず、ツッコんでおくリョウ。


「まあ、それはいいとして・・・、彼女、相当強いだろ?!」

イザベッラ、ナミカを本気で振りほどこうとしたのに、出来なかったことに

戦士としてのプライドが少し傷ついていた。


「うん、私より強いよ」

「「えっ??!!」」

リョウの言ったことに驚くイザベッラとヴァレンティーナ。

正直、リョウより強いなんて信じられなかった。


「まあ、いたずら好きが欠点だけど、大事な味方だから信頼してあげてね」

「・・・ああ・・・」

「・・・わ、わかった・・・」

2人は、ナミカがリョウより強いということを、まだ少し疑いながらも

返事をした。


そしてリョウは、イザベッラのグラスが空になったのを見て、ハイボールの

おかわりを作って彼女の前に置く。


「おう、ありがとよ」

イザベッラ、グラスを傾け一気に飲み干す。

「ぷっはぁ~~っ!本物のウイスキーってのは本当に美味いな!!

こりゃ、量産されたら大儲け間違いなしだな」


「そうなんだけど、それまでの投資と熟成期間がすごくかかるからね。

ここみたいに裕福な領とかじゃないと、儲けが出る前に破産するよ」

「なるほど・・・」


ウイスキーは製造・熟成させて、販売ができるまで何年間も収入がない。


なのでニ〇カが、ウイスキーで収益をあげられるようになるまで

果物ジュース(主にリンゴ)を製造販売していたことはわりと有名な話だ。


その流れで、今でもアップルワインやアップルブランデーも作っている。

ニ〇カの『カ』は果汁の『果』なのである。


正直、リョウとしても思い付きで言ったウイスキー製造に、辺境伯が

ここまで大掛かりでのってきてくれるとは想定外であった。


辺境伯家は充分に裕福であるし、場合によっては辺境伯の姉である

アンジェリカ様の嫁ぎ先であるメイフィールド伯爵家からの協力を

得ることもできるだろう。


そして、ここガリア領は農業が盛んなので、原料も安価で大量に調達できる。


さらにこの国でも1、2を争う腕利きのアイオロス親方が弟子を

引き連れて来てくれて、協力してくれている。


これだけの好条件が揃えば、数年後には高品質のウイスキーを

作り出せるだろう。


「ところでリョウ・・・」

「んっ?!な~に?!」

ヴァレンティーナが気まずそうに言う。

「そこに並んでるのも、瓶の形は違うがウイスキーなんだろ?!

ニホンにしかないはずなのに、何でこんなにあるんだ??」


「うっ・・・」

返事に困るリョウ。


1~2本なら、『たまたま収納バッグに入っていた』ということで

ごまかせそうだが、数が多すぎる。


かと言って、素直に『ナミカが持って来た』と言ったら、新たに

『どこから?どうやって?』という疑問がでるに違いない。


というわけで、リョウが困っていると、


「ふっふっふ・・・、それって・・・」

ナミカが不気味な笑い声をだして、ヴァレンティーナに迫ってきた。

「ほ・ん・と・う・に、知りたいッスかぁ~・・・?!」


「ひっ!」

思わず仰け反ったヴァレンティーナ、バランスを崩し、椅子からおちそうになる。


「おっと!」

それをリョウが右手で受け止め、支えた。


「ナミカさんっ!めっ!!」

ごまかしてくれたことに心の中では感謝しながら、一応ナミカをたしなめる

リョウ。


そして、

「2人とも、これからもこの本物のウイスキーを飲みたいでしょ?!」

真面目な顔でイザベッラとヴァレンティーナに言う。


コクコクとうなずく2人。


「なら、余計なことは聞かない、そして本物のウイスキーのことは

ジュリア以外には内緒にする!ということだよ。いいね!」

リョウはウインクしながら言う。


うん、似合ってないからヤメロ。


「ああ、いいぜ」

「わかった・・・」


2人の答ににっこりと笑顔をうかべたリョウは、新しいウイスキーの

瓶の封を切って、またハイボールを作るのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ