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507 教会まで・・・

リョウはマーティアと腕を組んでのんびりとガリアの中央通りを歩く。


転移ポイントである教会まで送り届けるためであるが、半分はデート気分を

味わうためである。


辺境伯家の馬車で送ると言われたのだが、目立ちすぎるので断った。


「それでティア・・・」

「はい、リョウ様・・・」


プライベートでは愛称のティア呼びをしてくれと言われたリョウ。

自分もと思ったリョウであるが、すでに『リョウ』が本名の『竜馬』の

短縮形であったw


せめて『様』は、はずしてくれるように言ったが、マーティアは

教会関係者以外はすべて『様』をつけているということで、婚約を

公表するまでそのままになった。


「創造神様から、私のことについて他に何か聞いてない??!」

創造神から、自分がこの世界の人間でないことや、与えられた役目について

聞いてないかと尋ねるリョウ。


「創造神様は、余計なことはおっしゃいませんし、私も聞くつもりは

ありません」

きっぱりと否定するマーティアだが、


(うん、やっぱり、ほとんど察してるね)

リョウは、自分の推測が当たっていることを確信した。


そして周りの人間をサーチし、さらに行動を予測した後、


「ティア、こっちに・・・」

「えっ・・・?!」


誰も来ないと推測した人通りのない路地にマーティアを誘導し、


ぎゅっ・・・

「きゃっ・・・」


抱きしめ、彼女の耳元で囁く。


「聖女という立場があるので、いろいろと我慢してると思うけど、

俺には、わがままを言ってくれていいからね」

怒ったり、緊張したときの癖で一人称が『俺』になっているリョウ。


リョウの言葉に、一瞬ビクッとしたマーティアだが、

「はい・・・」

と小さな声で答え、リョウをぎゅっと抱きしめ返した。


数分後、名残惜しそうに離れる2人。


そして改めて教会に向かう。


途中、2人を見た露店のおばちゃんに、

「あらあら、いいわね~・・・」

と、ほほえましい目で見られたり、


インネンをつけようと、わざとぶつかろうとしたチンピラをスッと避けて、

見えない一撃をくらわして密かに撃退したりしながら2人は教会に着いた。


本来なら、神父かシスターに許可をもらって祈祷室に入らないと

いけないが、転移をするので『入ったまま出てこない』と疑問に思われ

騒ぎになるといけない。


ということで、こっそりと使用することにした。


まず、サーチで付近に誰もいないことを確かめる。

そして祈祷室のドアまで行ったが鍵がかかっていた。


そこでリョウは、土属性魔法でそのへんの土から粘土を抽出する。

それを鍵穴に押し当て、サーチで鍵の構造をさぐりながら土属性魔法で

変形・硬化させ鍵を操作した。


カチッ


現代日本に比べれば単純な構造の鍵だ。

すぐに開いた。


リョウが静かにドアを開けるとマーティアが中にすべりこむ。


(ル〇ン〇世と峰〇二子みたいだな・・・)

なんてアホなことを考えるリョウ。


「リョウ様、一緒に神界へ行きませんか」

「すみません、今回は、やめておきます」

マーティアの誘いを断りドアから離れるリョウ。


創造神に婚約の報告をするべきだとは思うリョウだが、そこまでに

至った今回の流れを考えると、素直に礼を言う気にならない。


ほんと、めんどくさい性格である。

こんなことだから、パワハラで引きこもりになるのだ。


マーティアは一瞬、寂しそうな表情をしたが、すぐに笑顔を取り戻し、

「リョウ様、お元気で」

別れの言葉を言う。


「はい、お元気で・・・おっと誰かきた!・・・では!」


サーチに、誰かが近づく反応があった。


リョウはマーティアに手を振って教会から出る。


そして、アイオロス親方に会いに蒸留所に向かうのであった。

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