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506 聖女の婚約

応接室を出たリョウとマーティアは、廊下に控えていたメイドに案内され

皆が待機しているサロンに行く。


「リョウ!遅~~い!!」

部屋に入るとシャリアが飛んできた。


「え?!妖精フェアリー?!!」

驚くマーティア。


「シャリアだよ!よろしくねっ!」

空中でペコリとお辞儀をするシャリア。


「あらあら、まあまあ・・・」

そのかわいさに心を撃ち抜かれるマーティア。

「マーティアよ、よろしくお願いしますね」


「マーティア様、このは・・・」

シャリアとの出会いを話すリョウ。


「そんなことがありましたのね・・・」

「はい、なのでゴジール共和国にある彼女たちの住み処(すみか)まで

送り届ける予定です」

「なるほど・・・」


マーティアはシャリアの方を向き、

「人間がごめんなさいね。でも、よかったらあまり人間のことを悪く

思わないでね」

と言う。


「うん!リョウたちは、優しいもん!」

元気よく答えるシャリアに、ほっとした様子のマーティア。


そして、改めてマーティアは辺境伯一家に挨拶して、リョウとの婚約に

ついて話した。


「私のような者が、このような事を申し上げるのも、おこがましいのですが・・・」

遠慮がちに言うシュタイナー。

「本当に聖女様の結婚は許されるのですか?!」


「はい、元々、創造神様は聖女の結婚を禁じておられませんし、過去に

結婚した聖女は何人もおります。ところが、あるとき、教会の力を

私利私欲のために使おうとした聖女の配偶者がおりまして・・・、

いろいろとあったために、控えようということになったのです」


「なるほど・・・、つまり教会の力を私利私欲のために使うことのない者なら

許されると・・・」

シュタイナーの言った言葉に、その場の全員がリョウを見た。


「えっ?!なっ、何?!」

視線の集中砲火を浴び、居心地が悪いリョウ。


そして彼らは10秒ほどリョウを見つめた後、思い思いに口を開く。


「うん、大丈夫ね・・・」

「問題ないな・・・」

「権力嫌いだし・・・」

「お人よしだし・・・」

「アホだし・・・」

「どうせリョウだし・・・」

   ・

   ・

   ・


いろいろと言いたい放題である。


「うむ、そういうことなら問題ないだろう」

納得するシュタイナーであるが、


リョウとしては、何が『そういうこと』なのか思いっきりツッコミたくて

仕方がないのだが、そんなことが出来るはずがない。


「改めて、聖女様、リョウ、婚約おめでとうございます」

「「「「「 おめでとうございます!!! 」」」」

シュタイナーに続いて、全員が笑顔で祝福する。


ただ、マリエールだけは、微妙に不機嫌そうであったが・・・。


「「 ありがとうございます!! 」」

リョウとマーティアも声を揃えて礼を言う。


そして、

「ジュリア様」

「は、はいっ!」

マーティアがジュリアに声をかけた。


そして彼女の前まで移動し、彼女の手を握りながら言う。

「これからもリョウ様のことをお願いいたしますね」

「も、もちろんです」


そう答えながらもジュリアは、オリビアのことを思い出しており、

心が痛かった。


オリビアとは、リョウに求婚したノーレッジ子爵家令嬢のことである。


彼女のことを応援していたジュリアであったが、こうなってはもはや

リョウのことは、あきらめてもらうしかない。


自分だけ予定通り、リョウの側室となるのは悪いと思うが、子爵家の

跡継ぎである彼女の婿なんて、もはやリョウがなれるわけがない。


だいたい、彼女はリョウにとって、妹ポジションにしかすぎないことは

わかっていた。


とりあえず彼女が、学園で良い伴侶を見つけることを期待しておく。

子爵家を継げるとなれば、貴族の次男や三男が喜んで婿に入るであろうし・・・。


「あなたがたもリョウ様を助けてくださっているのね?!」

マーティアは、ジュリアの近くにいたイザベッラとヴァレンティーナにも

声をかけた。


「はっ、はい!イザベッラです」

「ヴァレンティーナと申します」

さすがに聖女の前ということで、2人とも緊張しているようだ。


「あら、あなたがグレイシアの幼馴染の方ですね。彼女から聞いていますよ」

「はい、同じ村の出身です」

イザベッラ、聖女様に名前を知っておいてもらえたことで、嬉しそうである。


「イザベッラ様、ヴァレンティーナ様、これからもリョウ様をお願いしますね」

「「 はいっ! 」」


さらに、マーティアは辺境伯家の者たちと話をして親交を深める。


そして話し終えたマーティアはリョウと一緒に、屋敷を退出するのであった。

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