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48 石臼

朝の鍛錬である。


一昨日、酔拳の相手をしてもらった3人が・・・・

来なかった。

骸骨竜スケリトルドラゴンの討伐の話を聞いてあきらめたようだ。


というわけで、軽く、剣の素振りや拳法の型をやって

終わりである。軽くと言っても、普通の人から見れば、

とんでもない動きなのだが。




朝食後、街に出る。


蒸留器が出来てるはずだが、時間的にまだ早いので

店が開いてないかもしれない。

冒険者ギルドには用事がないし・・・この世界、

朝市とかあるのだろうか?



とりあえず、市場に行ってみる。


この前の野菜売りの店が開いていた。


「おはよう。あんまりよくないジャガイモありますか?」

リョウは声をかける。


「なんだい、変な注文だね?!家畜のエサにでもするのかい?!」

店番の初老のおばちゃんが答える。


「そんなところです。傷がついていたり、少し傷んでいたり

したやつを値引きして売ってください。あ、普通のやつも

買いますよ」


「傷んでるのは農場であらかたはじいてしまうからねぇ。

10個ぐらいしかないよ」


「そうですか。じゃ、それと、普通のやつを10kgください」


「あいよ!ん・・・おや!この前の治癒師様じゃないか!

おかげで肩はなんともなくなったよ。ありがとうね。

学者様みたいな格好をしてたから、気づかなかったよ」


リョウは今日も学者スタイルであった。


「学者ではありません」


「ん??!!」


「大賢者です!」

眼鏡をクイっとしながら胸を張るリョウ。

もちろん、今回は酔っていない。


おばちゃんは、一瞬、唖然とするが


「あっはっはっは・・・!!」


すぐに、大笑いしはじめた。


「まったく冗談ばっかり・・・う!!・・・イタタ・・・」

おばちゃんは腰に手をあてて、痛がりだした。


「おっと」

リョウはおばちゃんの身体を支え、腰に手をあてサーチする。


「動かないでください」

おばちゃんを片手で抱きしめる格好で、腰にあったしこりと

炎症をヒールで治す。

イレーネよりも軽い症状だったので、あっさりと治った。


「はい、治りましたよ」


「えっ?!あ!」

痛さでリョウにしがみつく格好になっていたおばちゃんが

あわてて離れる。ちょっと頬が赤くなっていた。


おばちゃんは、ゆっくりと腰を動かしてなんとも

ないことを確かめると尊敬の目でリョウを見た。


「こんなに一瞬で治すなんて、本当に超一流の治癒師様

なんだねぇ」


「今回は特別です。本当なら、すご~く高い料金をいただきますよ」

安易に治癒を頼まれても困るので、リョウは、わざとそう言った。


「それなら、せめてオマケをしてあげないとね」

おばちゃんは、麻袋にジャガイモを12kg前後入れて

リョウに渡す。


リョウは、それを収納バッグに入れる。


「おや、収納バッグとは、いい物を持ってるね。

こっちはタダでいいよ」

痛んだジャガイモを入れた袋をリョウに渡す。


「ありがとう」

リョウはそう言って、代金を払い、八百屋を後にした。




「あとは、おろし金?!ミキサー?!すり鉢?!・・・」

リョウは一人言を言いながら考える。


「レイナさん、ジャガイモをすり潰したいのですが

何かいい道具はありませんか?」


「すり潰す?!・・・普通は、石臼いしうすですね」


石臼いしうす?!」


リョウのイメージでは、あまりジャガイモをすり潰すのには

適しているように思えなかったが、とりあえず扱っている

道具屋に行く。


「ああ、こういうやつか?!!」

そこには、餅をくときに使う臼を小さくして石で

作ったような物があった。


リョウの石臼いしうすのイメージは、円筒形の石が2個上下に

繋がっていて、上の石を回転させて穀物を粉にするものだった。


TVで見た、茶葉を抹茶にしたり、そばを挽いていたイメージが

固まっていたようだ。


確かに石でできた臼だから、石臼いしうすである。


直径30cmほどの石臼いしうすとすりこぎのような

形をした石のすり棒、他にバケツやタワシ等を購入した。

リョウのイメージした石臼は、区別するために「うす」とも

呼ばれているようです。

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