47 加護
その日の夕食は、骸骨竜の討伐の話で
もちきりであった。
というか、フェルナンデスが、ほぼ1人で興奮していた。
機嫌よく、骸骨竜との戦いを話すシュタイナー。
「・・・とやってな、そして最後は頭を粉々に砕いて
やったわ。わっはっはっ・・・」
シュタイナーの話が終ったときには、皆、ほぼ食事を
終えていた。
女性たちは、ほとんど興味ナシである。
「父上が骸骨竜と戦ってたとき、リョウは
何をしてたの?」
フェルナンデスが聞く。
「リッチーを倒して、サポートをしていましたよ」
ただ見ているだけというサポートである。
「リッチー!!!」
フェルナンデスが驚く。
「それって、すごく強いんじゃないの?!」
フェルナンデス、いつものお目目、キラキラモードである。
「私は、聖属性魔法が得意ですから、そんなに
苦戦しないで倒せました」
「リョウって魔法もすごいの?!!!!」
そういえば、フェルナンデスの前では魔法は使っていなかった。
「司教様でも治せなかった私の腰を治せるんだからねぇ。
大司教様や聖女様に匹敵するかもしれないね」
イレーネが言う。
「聖女様!!!」
フェルナンデスが目を丸くする。
「おおげさですよ。私の国は医療もすすんでいますので、
その知識のおかげです」
リョウはそう言ったが、シュタイナーは、あのとんでもない
ターンアンデッドを見ているので、そうは思わなかった。
しかし、骸骨竜討伐の後に、リョウから言わないでくれと
頼まれたので黙っている。
「リョウ!そんなことより、お菓子はどうなってますの?!」
マリエールが我慢できずに聞く。
「大丈夫ですよ。明日の午後のお茶の時間にお出しする予定です」
「本当ですの?!」
「はい、楽しみにお待ちください」
マリエール、一気にご機嫌モードである。
ここでメープルシロップを味見してもらってもいいのだが、
明日の楽しみが半減しそうなのでしない。
サロンでは、ウイスキーについての話である。
「ほう、エールやラガーからもドワーフ酒が出来るのか」
「お酒なら何でも蒸留すれば、蒸留酒ができます。
ワインならブランデー、エールやラガーならウイスキーと
呼ばれてますね」
リョウがシュタイナーに説明する。
「エールやラガーがあることを知らなかったので、
蒸留酒を本格的に作るのはワインの時期にと言いましたが、
ウイスキーを造るのなら、試作が済めばいつでも出来るかと」
「そうか、試作は多目に頼む」
シュタイナー、試作したものを飲む気まんまんである。
リョウもそのへんはわかっているので、本格的な
蒸留所が出来るまで蒸留酒を造っていくつもりである。
また、蒸留酒は熟成させないと独特の風味がでてこないので
樽に入れて保存熟成させる分も作っておくつもりである。
とりあえず、出来た蒸留酒は果汁などで割ったりして
提供しようかと思っている。
「あ、アルフレッドさん。試作用のエールが明日
届くはずですので、よろしくお願いします」
「かしこまりました」
執事のアルフレッドに受け取りを頼んでおく。
「それと、シュタイナー様、お酒の強さや品質を
見分ける能力を持っている人なんて、いるんでしょうか?」
現代日本なら、さまざまな器具があるが、ここは
異世界なので、そういうものがあるとは思えなかった。
「酒神の加護持ちだな。珍しい能力だが、そんなに
少ないわけでもない。たいていの醸造所に1人はいるし、
酒場にいることも多い」
「なるほど、そういう人を雇えませんか?」
「というか、うちにもいるぞ。アルフレッド!」
「はい」
「彼は執事でもあるが、うちのワイン倉の管理人でもある。
彼に手伝ってもらうとよい」
「お任せください」
簡単に見つかりすぎて、少し拍子抜けするリョウ。
「加護持ちかどうかは、どこでわかるのですか?」
「大きな教会には、加護や適正を調べる神具がある。
ここなら、聖教会に行けば調べてもらえるな。
もちろん、お布施はとられるが」
「なるほど、わかりました。ありがとうございました」
この日のサロンは、それで終了した。
暑さと腰痛で、死にかけてます。
毎日更新が途絶えたら、パテているということで・・・。




