40 凱旋
リョウたち3人が拠点に戻ったとき、日は地平線に
落ちかかっていた。
「司令官殿!!」
兵士の1人が3人を見て叫ぶ。
「骸骨竜は倒したのですか?!」
「シュタイナー様が、ハンマーで粉々に粉砕なさいましたよ」
リョウが答えると、
「「「「うぉおおおおおお・・・・!!!!!」」」」
大歓声が上がる。
「さすがです!」「やっぱりすげぇや!」「俺たちの誇りだ」
などとシュタイナーを褒め称える。
シュタイナー、なかなか人望があるようだ。
「リョウ様」
レイナがリョウの前に立っていた。
「討伐、お疲れ様です」
「はい、ありがとうございます。ちゃんと骸骨竜を
操っていたリッチーも倒してきましたよ」
「リッチー?!!」
レイナが驚く。
「ああ、元はダニエルというネクロマンサーだったんだが、
私への復讐心でリッチーになったようだ」
エリックが説明する。
「普通なら苦戦する相手なんだが、リョウの聖魔法は
反則だね、アンデッド相手なら無敵なんじゃないか?!」
「そうですね、今回は相性がよかったおかげで、わりと
上手くいきましたね」
もしかして、ライゼン様がこの領に自分を送り込んだのは
このこともあったのかとリョウは思った。
「あとは、白銀の魂のメンバーが1人、保護されました」
「おお!大事ないかね?」
レイナの報告にエリックが喜ぶ。
「怪我はしていますが、命に別状はありません」
「そうか。リョウ、すまんが治癒を頼む」
「はい。レイナさん、その人はどこですか?」
「こちらです。ご案内します」
その日は、拠点での1泊となった。
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「見事なターンアンデッドだったッスね」
ナミカが言う。
いつもの鏡スマホ(仮)の観賞会(笑)である。
「うむ、もう聖女を越えているかもしれんな」
ライゼンも満足そうである。
「気に入らんな!」
グラダインが不満を漏らす。
「骸骨竜との肉弾戦が見たかったのに
シュタイナーがでしゃばりおって!!」
「まあ、領主様ッスから、見せ場を譲ってあげたほうが
いいッスよ」
ナミカがなだめる。
「リッチーと骸骨竜とは、なかなかの大物じゃったが
相性がいい相手でよかったのう」
ライゼン、この件に関して、特に気にしてなかったようである。
「そうそう、酔拳ッスが、あんなもの教えてたんスね。
なかなか面白かったッスよ」
「ああ、あれはリョウに教わったのだ」
「「へ??」」
「格闘の訓練のとき、地球の格闘技を聞いたら、
いろんなものがあったんで、リョウの記憶を
再現してみたんだ。そうしたら映画という娯楽の中に
拳法のシリーズがあって、それが面白かったんで
2人でマネして、一日楽しんでしまった。
わっはっはっは・・・・・」
「そんなことやってたッスか?!」
「そんなに面白かったのなら、わしらにも見せて
くれればよかったじゃろうに」
ライゼンが不満を漏らす。
「ああ、大丈夫だ。その映画の記憶はコピーしてある」
グラダインはそう言って、青い色のガラス玉のような物を
とりだし、鏡スマホ(仮)に放り投げる。
ガラス玉は鏡スマホ(仮)に吸い込まれ、画面に映像が
現れる。
「ウヮチョーーホウゥ!!!」
男が数度パンチやキックを繰り出した後、構えを取る。
それは、ジ○○キー・○ェンの拳法映画であった。
そして、異世界デプラクス最初の映画鑑賞会が始まるのであった。




