04 戦神
「じゃ、デプラクスに移動しようか。地球神、ありがとうの。」
「いえいえ、お互い様ですので。」
ライゼンと神様が挨拶をした後、また周囲の景色が変わる。
「さて、まずは特訓じゃの。」
「特訓?!」
ライゼンの言葉に聞き返す竜馬。
「魔物に襲われても大丈夫だと言うならいらないがの。」
「魔物、やっぱりいるのか!!!」
(まあ、魔法がある時点で魔物もいるかもとは思ったけど。)
納得する竜馬。
「まあ、一ヶ月もやればいいじゃろ。」
と言いながら、ライゼンは時代劇にでてくる笠のようなものを
ポンと地面に放る。
「一本マツタケ!」
その笠の下から笠をかぶりながら、パンツ一丁の
ボディビルダーのような筋肉隆々の大男がニュッと出てくる。
「なぜマツタケ??」
「シメジだと微妙に差しさわりがあるんだよ」
竜馬の疑問に大男が答える。
「シモネタっぽいことを言ってないで紹介してくださいッス。」
中川美香が2人を止める。
「いたのか!あんた。」
彼女の存在をすっかり忘れていた竜馬。
パチン
スルッストン
「わっ!」
美香の指パッチンとともに竜馬の足元に、ベルトの切れたズボンが落ちる。
「ずっといたッスよ。それから私のことはナミカと呼んでほしいッス。
ライゼン様の補佐ッスよ。」
とてもいい笑顔で答える美香ことナミカ。
「指パッチンで物が切れるわけないんじゃないのか!?」
「嘘ッス」
あっさりと前言をひるがえしたナミカ。
というか、そうなら切った物を元に戻したことのほうが、
さらにとんでもないことになるのだが。
「グラダイン様、こちらが今回のぎせ・・・、モル・・・、協力者の
深浦竜馬様ッス」
(お前、今、犠牲者とかモルモットとか言いそうになっただろ!)
ズボンを引き上げながら、紹介された大男に挨拶する竜馬。
「深浦竜馬です、よろしくお願いします。」
「おう、おれはグラダイン、戦神だ。バッチリ鍛えてやるぞ。」
「ああ、姿も変わったことだし、名前もこっち風にしたほうがいいじゃろ」
「え?!姿も?」
ライゼンが言ったことに、とまどう竜馬。
「ほい」
ライゼンは、どこからか取り出した鏡を竜馬に渡す。
その鏡には、元の竜馬を白人っぽくして男前にしたような
銀髪青眼の20歳前後に見える青年が映っていた。
「肉体的にあのままじゃひ弱すぎるでの、強化ついでにこっちの
人種っぽくしておいたんじゃ。気に入らんかの?!」
「いえ、ありがとうございます」
たしかに身体の動きが軽いような気がしていたが、まさか
強化されていたとは。しかもそうとうなイケメンである。
「あと、名前もこっち風にしようかの。
リョウマ・フカウラ、リョウマ・フカーラ、リョウ・フ・カーラ、
・・・・・、うん、リョウ・F・カーラにしよう、
ミドルネームのFがケネディ大統領っぽくていい感じじゃ」
(いや、暗殺された人というのも縁起が・・・というか、
何でそんな人を知ってるんだ?!まあいいけど)
ちょっと不満もあるが、悪くないと了承する竜馬改めリョウ。
「では、これからは、リョウと呼んでください。」
「あとは、魔法じゃの。適正を見るので、こっちを向くのじゃ。」
自分のほうを向いた竜馬改めリョウの額に右手をあてるライゼン。
手を当てた額が、白く発光する。
「ほう聖属性か、しかも魔力量もなかなかじゃ。4属性なら魔法神を
呼ぶつもりじゃったが、聖属性なら、わしが直々に鍛えてやれるのう。」
ライゼンの説明によると、火・水・風・土の4属性と
言われる魔法は、魔法神が司っているが、聖属性と闇属性は
創造神であるライゼンが司っているとのことだ。
「攻撃系の魔法はあまりないが、治癒魔法や肉体強化など、
安全のためには一番いい属性じゃの」
説明しながら、グラダインのほうを見てうなづくライゼン。
「おう、まかせておけ。バッチリ鍛えてやる。じゃ、行くぞ。」
グラダインの掛け声とともに、リョウは特訓場へと転移した。