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38 出撃

骸骨竜スケリトルドラゴンか。ならば、ハルバートより

ウォーハンマーだな」

シュタイナー、やる気まんまんである。


「いや、辺境伯家当主の君が前線にでたらダメだろ。

万が一があったら、どうするんだ?」

エリックがたしなめる。


「それを言うなら、ギルマスのエリックさんも同じでしょう」

「いや、私の場合は、・・・」

「ストップ!!!」

リョウが2人の言い合いを止める。


「どうせ、お2人とも行かないと気がすまないんですから

時間の無駄です。さっさと用意してください」


「おお!中央広場で待っていてくれ。すぐに行く」

シュタイナーが装備を整えるため、司令官室を出て行く。


「まあ、確かにそうだな」

エリックが肩をすくめながら部屋を出る。

「ええ、この3人でなら大丈夫ですよ」


リョウとレイナはその後に続くのだった。





リョウたちは、領軍の馬を借りて、領軍の騎馬隊50名と

一緒に森へ向かっていた。

残りの歩兵100は遅れて出発する予定だ。


歩兵を伴っては、森に着くのが夕方になってしまう。

アンデッド相手に、夜間の戦いは避けたかった。


それに森へ突入するのは、リョウ、エリック、シュタイナーの3人だけだ。

騎馬隊の役目は、彼らのサポートと白銀の魂の捜索である。


森の手前のやや開けた場所に着いたのは正午頃であった。

ここに拠点を設営する。

遅れて出発した歩兵は、夕方前に合流し、夜間の拠点を

守る予定になっている。


収納バッグから、さまざまな設営道具が取り出される。


森との間に、組み立て式の馬防柵が設置され、

手前にはテントが張られる。


かまどを作り、昼食の用意をしはじめる。

腹が減っては戦は出来ない。

馬にも水と飼葉が与えられる。


ほとんど指示なしで作業をこなす様子は、錬度の高さを物語る。

ガリア領軍でも、精鋭なのであろう。


リョウは地面に手を当て魔力を流し、サーチする。

人体ほどの繊細な情報は必要ないので、範囲を広げ

前方の森に向かって扇形に500mほどを調べる。

とりあえず、食事の邪魔はされずに済みそうだ。


昼食は、具たっぷりのシチューとパン、普通に

おいしかったし量もたっぷりであった。

戦時中ではないし、収納バッグがあるので

物資に余裕があるのだ。


昼食後、レイナが一緒に行くとしつこかったが

エリックやシュタイナーに説得され拠点に残らされた。


領軍の半数はここを守り、残りは白銀の魂の捜索に出る。




先頭のリョウは、領軍から借りたナタのようなもので

邪魔な枝や草を切り開きながら進み、後をエリック、

シュタイナーの順で続く。


リョウのサーチがあるから、奇襲はまず受けないが

実戦は何があるかわからない。

半径300mほどの円形にサーチを展開しながら進む。


1時間近く進んだところで、サーチに反応があった。


「右斜め前、300mほどのところに、集団の反応が

あります。数はおよそ10、大きさから見て、骸骨竜スケリトルドラゴン

混ざっていません」


「数や大きさまでわかるのかい、便利だね~~」

リョウのサーチの性能にエリックが感心する。

サーチを使える魔術師はめったにおらず、いたとしても

おおよその位置がわかる程度らしい。


「つぶしておきたいが、おとりの可能性もあるね。

様子を見ながら、このまま進もうか」

エリックの判断に合意するリョウとシュタイナー。


少し進むと前方にも反応があった。

「前方やや右に反応、数20。左斜め前からも20ほど

来てます」


「これは、取り囲んで一気に、ということだね」

「そのようです、さっきのやつらは、距離を

保ったまま右方向に移動してます」

エリックにリョウが答える。


「囲まれないうちに各個撃破するか?!」

シュタイナーが言う。




「もう、遅いぞ!」


どこかからか声が響いた。

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