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37 骸骨竜

ヘンリーの話によると、彼らは昨夜キャンプ中に

骸骨竜スケリトルドラゴンに襲われたそうだ。


魔術師が照明の魔法を空に打ち上げ、姿を確認して

すぐに全員が四方に分かれ逃げた。


これは、彼らの常套手段で、まとまってやられるのを防ぎ

一人でも逃げ延びて情報を持ち帰るためである。


そのときに、ヘンリーは骸骨竜スケリトルドラゴンのブレスを

吸い込んだために呪われたとのことだ。


骸骨竜スケリトルドラゴンか・・・この前のオーガは

そいつから逃げてきたんだろうな」

エリックは、対策を考えているようだ。


「その骸骨竜スケリトルドラゴンというのは強いのですか?!」

リョウが聞く。


「ドラゴンの中では、基本的に弱いほうに入るな。

まず素材となるドラゴンだが、成体になるとその強さゆえに

めったに死なない。だから、たいていは幼体の死体が素材になる。

そして、思考能力もないし成長もしないので、

倒すだけなら戦力を整えれば難しくないだろう」

エリックが説明する。


「だが、問題は、こいつを作って操っているやつがいるということだ」

「自然発生はないんですか?」

リョウがさらに聞く。


「もちろん、自然発生の確率は0じゃないが、ドラゴンほどの

大物が死んだら、普通は多数の魔物によって死体は食い散らかされ

バラバラになるので、ゾンビやスケルトンにはなりにくいんだ。

人間が死体を見つけたら喜んで高級素材として持ち帰るし、

ドラゴンが見つけたら、ブレスで焼却だな」

「なるほど」


「その操ってるやつ、たぶんネクロマンサーだが、そいつや

そいつの作った他のアンデッドも一緒に相手をすることになるはずだ」

「なかなか面倒ですね」

「ああ、広範囲のターンアンデッドが使える者がいたら

いい・・・ん・・・だ・・・が・・・」


ヘンリー以外の全員がリョウの顔を見る。


リョウは、ゆっくりと右手を上げ、挙手をする。


「使えるのか?!」

「半径2~30mはいけると思います」

エリックに答えるリョウ。


「「「 半径30m ?!!! 」」」


「そんな聖魔法の使い手の冒険者なんて、聞いたことがないぞ!

あ、もしかして俺を治療してくれたのは・・・」

「ああ、言い忘れてたな。彼は昨日、初登録でBクラスに

なったリョウだ。彼がいなければ、君は危ないところだったよ」

ヘンリーにエリックが答える。


「初登録でBクラス?!! なるほど、それだけの実力が

あるということか。 リョウ、ありがとう、恩に着る」

「いえ、お役にたててよかったです」

ヘンリーが差し出した右手を握り、握手するリョウ。


「ステラ、白銀の魂のほかのメンバーの救出隊を募集だ。

決して森には入らず、森の外縁で捜索するように徹底してくれ」

エリックが指示をだす。


「私は、リョウと一緒に領軍に協力を要請して

そのまま、骸骨竜スケリトルドラゴンの討伐に参加する」


「エリックさんも討伐にでるんですか?!」

「ちょっと思い当たることもあってね。

大丈夫、アンデッドは火にも弱いからな。

豪炎の魔術師といわれた私の腕をみせてあげよう」


「火事には気をつけて下さいよ」

ステラが注意する。

「ああ、牽制をメインにするよ。主役はリョウだからな」


そして、リョウたち3人は領軍の司令官室に向かった。

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