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32 メープルシロップ

レイナは、リョウを泊り客用の部屋に送り届け、

アンジェリカの元に来ていた。


リョウに耳をフニフニされたせいで、顔が赤くなっていた。

なお、口でハムハムは、なんとか阻止した。

代わりに語尾に「ニャ」をつけることになったが。


「ということは、辺境伯家うちの利益に気を使ってくれてると?!」


レイナは、今日のリョウの行動の報告をしていた。


「そして、私が監視役だということも理解しているようで、

すすんで協力していただきました」

「ふむ・・・後ろめたいことはないと言いたいのでしょうね」


アンジェリカにしてみれば、まさか、リョウの目的が

自分たちの目的と合致しているなど思いもしていない。

そのため、あまりにもリョウが自分たちに

都合よく動いてくれてるのが、疑問であった。


「まあ、いいことに対して文句を言ってもしょうがないわ。

足元をすくわれないように注意だけはしておきましょう」


「それと、米がゴジールにあると聞いて、『一度行かなくては』

とおっしゃってました」

「米?!変なものにこだわるのね。今度、理由を聞いてみましょう。

引き続き、リョウの世話と監視を頼むわ」

「かしこまりました」


「ところで、リョウと○○○○はしたの?」

いきなりの質問に真っ赤になるレイナ。

「してません!」


「あらあら、夜這いぐらいすればいいのに」

「しませんから」


そのまま逃げるようにレイナは部屋を出て行くのだった。





その頃、リョウはシュタイナーから呼び出されていた。

相談したいことがあるとのことだ。


ちゃんと、状態異常解除のキュアを自分にかけて、酔いは

醒ましていた。実は、酔った状態で悪ノリするのが楽しくて

わざと、キュアをかけていなかったのだ。


シュタイナーの執務室に行くと、小柄な老人がいた。


「リョウ、彼は辺境伯家うちの所有する森を

管理してくれているヨーゼフだ」

「はじめまして、ヨーゼフさん。リョウです」

「ヨーゼフですだ」

リョウはヨーゼフに右手を差し出し、握手する。


「彼が、森の木に変なものがあると言うのだが

いったい何かわからんのだよ」

「変なもの?」


「木に棒が突き刺してあって、それに瓶が挿してあるだよ」

ヨーゼフは身振りを交えながら説明する。


「去年もこの時期に同じようなものを見ただが、2~3日で

なくなっていただ。それが、今年もまたあっただよ」


「去年、報告を受けて調べたのだが、何10本もの木に

穴が開けられて、それをふさがれた跡があったのだが、

意味がわからなくてね、そのままになっていたのだ。

リョウ、何かわかるかね??」


「ヨーゼフさん!その木の葉っぱって

手のひらみたいな感じに分かれていませんか?!」

リョウは、手のひらをヨーゼフに向けながら聞く。


「え、何でわかるだ?!そのとおりだよ」

「リョウ、いったい何かわかるのか?!」

リョウの様子にシュタイナーも期待する。


「これは、ぜひ犯人を待ち構えて捕まえましょう!!

あ、協力させたいので、出来るだけ無傷で捕まえてください」


「協力ということは、何か利益になることなのか?!」


「儲けると言うほどのことは出来ないでしょうが、

少なくともマリエール様たちは喜ばれると思います」

「ほほう、説明を頼む」


「その瓶は、木の樹液をためるためのものです」

「樹液をどうするのだ?」


「その木の樹液には糖分が含まれていて、煮詰めたら

甘いシロップが出来るんです」

「なんだと!」


「私の国では、メープルシロップと呼ばれて、

人気の高級甘味料です。去年もあったということは、

たぶん何年も樹液泥棒をしていたんじゃないかと」


「なるほど、協力というのは、そいつらに

樹液採取と煮詰める方法を教えてもらうということか」


「名産となるには、木を増やして量産できるように

ならないと無理でしょうが、少なくとも辺境伯家で

使ったり、贈り物にしたり出来ると思います」


「よし!すぐに隠密行動の得意な斥候せっこう部隊を派遣しよう。

ヨーゼフ、部隊をそこまで案内してくれ。

リョウ、ありがとう。また夕食の席で」


シュタイナーは指示をだすために、ヨーゼフとともに

部屋をでていった。


「メープルシロップか・・・うん、やっぱりホットケーキだよね」


シロップが手に入ったら、マリエールとフェルナンデスに

ホットケーキを焼いてあげようと思うリョウだった。

足元をすくわれるは、足をじゃないかという説がありますが

もう一般化して逆にこちらのほうが多く使われていると

いうことなので、足元のほうを使いました。

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