317 不意打ち
ジュリアが男を殴るのを見て、
(ありゃ~、まだ機嫌悪いのか?!
そんなにスルメをあげなかったのが気に障ったのかな?!)
と思うリョウ。
アホである。
(お前はどこかの鈍感系主人公か?!)
とツッコミを入れたいところである。
ジュリアの機嫌が悪いのは、一昨日の夜のグレイシアとのHが
原因であった。
間もなくリョウと離れ離れになるグレイシアに同情して護衛を
代わったジュリアであったが、イマイチ割り切れないものがあった。
しかし、『王都を出ればリョウと2人っきり!ふっふ~』とか
思ってなんとか押さえていたのだ。
ところが出発が延期になってしまったため不満が噴出した。
まあ、スルメの件がその不満に若干追加されたかもしれない(笑)
それでも、さっきの、『テーブルの表面斬り』でリョウの
剣技と剛斬丸を見ることが出来て機嫌が上向きかけていたのに、
この男が関わってきたため帳消しになった。
そして、男は報いを受けた。
バカである。
ジュリアの方を見ているリョウ。
それを見てエドガーに、いたずら心が湧いた。
開始の合図の前に不意打ちをして、相手が文句を言ったら
『油断するほうが悪いのじゃ!ふぉっふぉっふぉ』
とかいう、よくあるやつである。
気配を消し、すべるような足さばきでリョウに近づくエドガー。
そしてリョウの頭に軽く一撃・・・
ひょいっ
避けられた。
サーチで全周囲を警戒しているリョウに不意打ちなんて
出来るはずがない。
まあ、ゴ〇ゴ〇3が1km先から狙撃してきたらわからないが(笑)
驚きの表情で、練習用の剣を振り下ろした姿勢のままリョウを
見るエドガー。
リョウは、まるでスライド移動したかのようにさっきまでと
同じポーズ、左手を腰にあて、右手で持った木製の大剣を右肩に
担いだままである。
(こっ、この野郎?!!)
後ろを向いたままのリョウに舐められてると思ったエドガー、
不意打ちが失敗した恥ずかしさが怒りに変化した。
リョウとしては、
(とりあえず避けたけど試験だというのなら文句を言うのも
反撃するのもまずいかな?!)
と思って、そのままになっていただけなのだが。
「とおっ!」
ひょいっ
「たあっうりゃっ!!」
ひょひょいっ
「うぉりゃせいっでりゃぁ~!!!」
ひょひょひょ~いっ
今度は本気で剣を振り回すエドガーだが、リョウは後ろを
向いたまま避けていく。
「そこまでだ!」
結局グランツが止めるまで、エドガーは10数回リョウに
斬りかかって避けられた。
息があがっているエドガー。
やはり、5年のブランクは大きいようだ。
それにに対して、リョウは何事もなかったかのように佇んでいた。
「止めるな!グランツ!!」
「落ち着け!エドガー!!」
にらみ合う2人。
そして、
「・・・すまん・・・」
エドガーが謝る。
「久しぶりの戦いで頭に血が上っちまった・・・」
こういうときに、
(いや、攻撃して避けられ続けただけだから、戦いになってないだろ?!)
というツッコミは無粋である。
「リョウ!そういうわけだから・・・」
グランツが、リョウに声をかける。
「え?!」
振り向くリョウ。
(まだ後ろを向いてたんかい?!)
「俺たちのような引退した者じゃ相手になりそうにないことが
わかったので試験は・・・」
グランツが『とりあえず合格』と言おうとしたとき、
「じゃあ、俺たちの出番だな!」
グランツたちの後ろから声をかけてきた者がいた。




