306 黒髪黒目
更新再開ですよ~
「あっはっは・・・」
とりあえず笑って時間を稼ぐリョウ。
その間に、何と言ってごまかそうかと考えるが、イマイチ
思いつかない。
ウィッツレーベン公爵家でユディットに問われたときもそうで
あったが、本当にリョウはごまかすのが下手である。
「おほほほほ・・・」
リョウの笑いに合わせるようにマーティアが高笑いをする。
「ダメですよ、リョウ様。ニホンのジョークはこの国では
難しすぎます」
周りの者たちが一瞬キョトンとしたが、どうやら、マーティアは
リョウを助けようとしてくれているようだ。
リョウのツッコミ体質が、『いや、あんたのさっきの冗談のほうが
難しいよ』と言いたがっているが、それを言ったらただのアホである。
「あははは・・・、そうなんですよ~、ニホンジョークです」
ビッグウェーブではないが、せっかくの助け舟である、乗るしかない!
「はっはっは・・・。な~んじゃ、そうじゃったのか」
ブレンダ、よくわかってないがとりあえず話を合わせる。
他の者たちも、すぐに『ああ、そうだったのか』という顔つきになった。
「そのニホンジョークというのは、よくわからないが、黒髪黒目の
リョウというのも見てみたいな。わりと似合うと思うぞ」
とグレイシア。
(うん、もともとそうだからね)
と思うリョウ。
この姿になって2か月ほどたつが、鏡を見る習慣がないことも
あって、まだ慣れてない。
そういえば、ライゼンとの契約が終わって日本に戻るときに
身体はどうなるのだろうと思うリョウ。
(スキルや加護を持ったままでは逆にとんでもないことになりそう
なのでいらないけど、身体のほうは今の細マッチョっぽい体形のまま
黒髪黒目に戻してくれないかな?!
たった1ヶ月とはいえ、とんでもない特訓に耐えたご褒美として
それぐらいおねだりしてもいいよね?!
1年の引きこもりで贅肉ぷよぷよの頃に戻されるとかないよね?!)
などと都合のいいことを考えてるリョウにブレンダが話しかけた。
「そうそう、リョウ。さっき買った新しい調味料、ショーユとうん・・・
じゃない、ミーソじゃったか、それらを使った料理は作らんのか?」
「「「「「 えっ?! 」」」」」
大人たちの目がキラリンと光る。
「新しい調味料ってなんですか?」
「どんな料理を作るんですか?」
「今夜ですか?夕食ですか?」
「きっと、すごくおいしいんですよね?!」
「私たちにも作ってくれますよね?!」
「お手伝いします!いえ、させてください!!だから・・・」
「食べたい!食べたい!食べたい!!!!!」
シスターたちの食いつきが半端なかった。
今度は、孤児院の子供たちがキョトンである。
マーティアたちも思いは同じようなものだが、リョウが料理を
作ったら優先的に回ってくるのがわかっているので落ち着いている。
「リョウ!俺にはちゃんと多目にくれよ!!」
グレイシア、落ち着いていなかった。
ほんと、この異世界、食いしんぼばっかである。




