303 爆弾発言
「で、なぜ、あなたがたがいるんです?」
「あら、孤児院は教会内の施設ですもの、ときどき慰問に来ていますのよ」
「私は聖女様の側仕えですから」
「俺は聖女様の護衛だし」
「私はあなたの相棒だもの、何も不思議なことはないわ」
そう、シスターたちと一緒に孤児院に着いたリョウたちを待っていたのは
子供たちだけではなく、マーティア、コリーヌ、グレイシア、ジュリアの
4人もであった。
もちろん目的は、カップリンアラモードである。
マーティアは教会の最高権力者であるので、教会内の情報は筒抜けなのだ。
「ほれほれ、そんなことよりおやつを持ってきたんだろ?!
早く出してくれよ!」
待ちきれないグレイシアが言う。
「ダメですよ、グレイシア。子供たちが先です」
たしなめるマーティア。
ちゃんとしたことを言ってるように見えるが、子供たちに先を譲ると
いうだけで、結局、自分たちの分もよこせと言ってるのには変わりない。
まあ、作り置きのために余分に作っておいたので数は足りてるし、
聖女であるマーティアに出さないという選択肢なんて最初からない。
「せいじょ様ぁ~、今日のおやつはせいじょ様がもってきてくれたのぉ~?!」
マーティアに抱きついていた5歳ぐらいに見える女の子が聞く。
「違いますよ。今日のおやつはこちらの賢者様がお作りになられたものです。
とてもおいしいですよ」
まさに聖女の微笑みをうかべ女の子の頭を撫でながら言うマーティア。
「けんじゃ様?」
そのまんまるい目でリョウを見る女の子。
「にゃっほ~っ」
どう対応していいのかわからなかったリョウ、とりあえず右手を上げて
女の子に微笑みかける。
「何じゃ、それは?!」
リョウの気の抜けた挨拶にツッコむブレンダ。
「んっ」
女の子はマーティアから離れ、たたたっとリョウに向かって走り、
立っているリョウの足に抱きついて言った。
「好き」
「あにゃ?!」
突然のことに変な声がでてしまったリョウ。
「あらあら、リョウ様、おモテになりますね」
シスターの1人がリョウをからかう。
「こりゃこりゃ、ダメじゃぞ。リョウはわしのものじゃ」
ブレンダがそう言って女の子をリョウから剥がそうとする。
「お姉ちゃんの??」
女の子が不思議そうにブレンダの顔を見る。
「そうじゃ、リョウはいずれわしと結婚するのじゃからな」
「ぶっ!!!」
胸を張って答えるブレンダと噴き出すリョウ。
「な、なにを・・・」
「何をおっしゃるのです!!ブレンダ様!」
マーティア、リョウの台詞にかぶせてきた。
「リョウ様は、私と添い遂げるのです!!」
「「「「「「 えっ???!!! 」」」」」」
突然のマーティアの爆弾発言にその場の大人たち全員の目が
点になるのであった。




