301 味噌
「ところでブレンダ、ひとつお願いがあるんだけど」
「い、いきなり何じゃ?!」
リョウに真面目な顔で話しかけられて戸惑うブレンダ。
「絶対に『う〇こ』って言わないでね」
「ぶっ!!」
噴き出すブレンダ。
「い、いったい何じゃ?!そんなこと言うわけがなかろう」
ブレンダ、訳が分からない。
「じゃ、約束したよ」
そう言った後、店主に向き直るリョウ。
「じゃ、その甕の中身を見せてください」
「あ、ああ・・・」
店主、甕の蓋を開け、スプーンを使って中身を少し小皿に出す。
「うっ、うぐぐっ・・・」
ブレンダ、『う〇こじゃないか!』と言いかけたが約束なので我慢する。
店主がリョウとブレンダに向かって言った。
「う〇こみたいだろ」
「「お前が言うんかい?!!!」」
2人のツッコミがハモった。
「それで、これは何なのじゃ?」
ブレンダがリョウに聞く。
「味噌といって、豆を煮て潰したものを発酵させた調味料だよ」
小皿の味噌を確認しながら説明するリョウ。
「このままでも食べられるけど、基本は味噌汁というスープだね」
(とりあえず豚汁の材料も買って帰ろう)
と思うリョウ。
基本的に食べ物の好き嫌いはないリョウであるが、実は生の味噌が
苦手である。
なので自分が食べない料理を作るつもりはない。
まあこの見た目であるから、この国にも生の味噌を食べようなんて
思う人はたぶんいないだろうから問題なしである。
「じゃ、おやじさん、醤油と味噌とこの魚の干物をください」
「毎度~~」
醤油と味噌という和食には欠かせない調味料を手に入れたリョウは
ホクホク顔で乾物屋を出るのであった。
乾物屋の後、メインの目的であるプリンの容器といろいろな食材を
買って教会に戻ってきたリョウたち。
「わしも手伝うのじゃ!」
とブレンダも厨房についてきた。
もうすぐリョウとお別れなので、寂しいようだ。
もちろん、一番の目的はプリンであるが。
「「「 お待ちしてましたぁ~ 」」」
リョウたちが厨房に入るとシスターたちが待っていた。
シスターたちの買ってきた卵やミルクに市場で買ってきたものを
追加するリョウ。
足りないのはまずいが多い分はシスターたちと分けたり、ブレンダや
グレイシアたちのための作り置きにすればよい。
そしてプリン用に買ってきた容器も取り出す。
「リョウ様これはちょっと大きいのでは?」
シスターの1人が、リョウの買ってきた容器を見て言う。
確かに今まで使った容器に比べれば一回り大きかった。
「ちょっと考えがありまして。じゃ、始めましょうか」
プリン50個の調理の開始である。




