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296 リリエンタール公爵家 その8

夏バテで体調がイマイチなので、更新が不定期になるかもです。

「ねえねえ、リョウ。ニホンはどういうとこなの?」

アレンがリョウに聞く。


「う~~ん、そうだね~~・・・」

アレンが興味を持ちそうなものは何かと考えるリョウだが、適当なものが

思いつかない。


兵器・武器の話は当然ダメだし、飛行機や電車・自動車などの交通機関も

技術が違いすぎて話せない。


リョウの目的は『ちょっとだけ文明をすすめる』ことなので、産業革命

なんてとんでもないと神様に言われている。


(教育や政治についても基本的な考え方が違うのでダメだろうし・・・)

などとリョウが考えている間に、


「ニホンは食事やお菓子がおいしいのじゃ!」

ブレンダが代わりに言う。


「そうなの?!」

「うむ、昨夜のプリンアラモードも絶品じゃった」

「え~~~!!ボクも食べた~~い!!」

プリンの味を思い出してうっとりするブレンダの表情を見て、

アランがリョウにおねだりをする。


「ごめめ、作り置きがなくなったので手元にないのよ。この後、

教会に帰ってから作る予定なんだけど」

「え~~~~っ!」

リョウの言葉にがっかりするアレン。


「代わりにこれを差し上げます」

リョウが、そう言って収納バッグから瓶を取り出す。

中身は、今朝作ったばかりの水飴である。


「何?これ!」

「水飴と言って、砂糖の代用品みたいなものだけど、このままでも

食べられるよ」

アレンに説明しながら2本の棒で水飴をすくうリョウ。


そして、お約束のコネコネである。

「こういう風にこねて中に空気を含ませると白くなって舌ざわりが

よくなります」


リョウは白くなった水飴のついた棒をアレンと公爵夫人に1本ずつ渡すと

すぐにまた棒を2本取り出し水飴をこねはじめる。

ブレンダが『自分にもよこせ』と目で訴えていたのだ。


「まあ」

「あま~い」

嬉しそうに舐める2人。

それを見てブレンダがさらに目で訴えてくる。


「ところで・・・」

水飴を舐め終わった公爵夫人が話し始める。

なぜか、とてもいい笑顔である。


「賢者リョウ様は、なんでも女性を美しくする秘技をお使いになられると

聞いたのですが・・・」


(そっちか~~~~い!!)

思わず口にでそうになった言葉をなんとか心の中の叫びですませたリョウ。

そして、

「何かの間違いじゃないでしょうか・・・」

とりあえず否定してみた。


「ウィスラー伯爵のお義母様のマルティナ様が、まるで若返ったように

なったとか・・・」

リョウの否定を無視して話を進める公爵夫人。


(ありゃ~、そこまで情報が届いていたか・・・)

どうしようかと考えるリョウ。


実はリリエンタール公爵の命令で、アレンの治療の後に公爵家の情報網を

フル活動させて、『救済の旅』の情報を集めさせていたのだ。


その中に、マルティナがアントウェル侯爵夫人のマリエージュを訪ね

さんざん悔しがらせたという情報が入っていた。


その情報を聞いて公爵夫人はどうやったら賢者リョウと接触できるかと

ずっと考えていたのだが、まさかこういう形で会えるとは思わなかった。


自分の運のよさに心の中で、ほくそ笑む公爵夫人であった。

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