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284 ウィッツレーベン公爵家 その7

とりあえずヨハンには、王都を出る前にもう1度来て演奏すると

いうことで弟子入りをあきらめてもらった。


そしてリョウは現在、ユディットに商会についての説明をしている。


「商会が芸術家たちの雑事を代わりにするということですか?!」

とユディット。


「そうです。例えばヨハンさんなら、彼の代わりに楽団や演芸場から

仕事をもらってきたり、いつどこで仕事をするのかスケジュールの

管理をする者をつけます。これをマネージャーと言います」


「マネージャー・・・と・・・」

リョウの説明をユディットの代わりに執事がメモしている。


「パキートさんのマネージャーの役目は、陶芸の材料の調達や

作品の販売などですね。マネージャーが雑事を代わりにしますので

お二人の芸術活動に費やせる時間が多くなります」


「「 おお!! 」」

嬉しそうなヨハンとパキート。


「ですが、そのマネージャーの人件費はどうするのでしょう?」

ユディットが聞く。


「ヨハンさんなら演奏したギャラ、パキートさんなら売れた陶器の

代金から何割かをもらってまかないます」


「「「 え??!! 」」」

驚くパキートたち。


「い、いや、私は援助をいただいてやっとの生活なので・・・」

とパキート。


「ボクもやっと演奏の仕事がくるようになったばかりなんだ・・・」

ヨハンは、クラリネット奏者として最近認められてきているところらしい。


「ああ、払うのは今のあなたたちではありません。未来のあなたたちです」

「「 未来?? 」」

「5年後、10年後、20年後、あなたたちが技術を磨き腕をあげて

もっと稼げるようになったときに払ってもらうのです」


「将来を見越した投資のようなものですか・・・」

「そのとおりです。それまでは資金が必要になりますのでこれを使って

いただきたいということです」

リョウはテーブルの上に置かれたままになっていた真竜の爪を

改めてユディットに差し出す。


「わかりました。これはリョウ様からの投資としていただきます」

今度は素直に受け取るユディット。


(投資と言われても利益がでる頃には、たぶんこの世界にいないん

だよな~・・・)

そう思いながらリョウは言う。

「あ、芸術家と商会の取り分については、きちんと契約書を交わして

くださいね。お金のことはトラブルになりやすいので」


「わ、我々はユディット様とトラブルになんてならない!」

「そうだ、援助していただいてる恩を仇で返すようなことはしない!」

パキートとヨハンはそう言うが、こういうことでのトラブルは

よくあることだ。

まあ、公爵家令嬢であるユディットの権力を考えればたぶん大丈夫

だろうが。


その後、30分ほど商会についての細かい話をしてリョウとジュリアは

公爵家を後にしたのであった。

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