279 ウィッツレーベン公爵家 その2
1~2週間、更新をお休みします。
再開したら、またよろしくお願いします。
「あれっ?!」
ブリギッテが疑問の声を上げる。
「それじゃ、昨日のデカ乳娘は・・・?!」
「え?!」
「へっ?!」
お互いに見つめ合うリョウとブリギッテ。
キックオフ状態の中、墓穴を掘ったことに気が付くブリギッテ。
そして、リョウもまた気が付いた。
「やっぱりお前かぁ~~~!!」
昨日、ドミニク商会で話しかけてきた女はブリギッテではないかと
思っていたリョウだが、確信に変わった。
「い、いや!あれは私だが、私ではないんだ!」
「わけのわからんことを言うなぁ~!!!」
「リョウ様、何があったのでしょうか?」
ユディットが聞く。
「あ、すみません、実は・・・」
そう言いながら頭の中を整理するリョウ。
「昨日、女の子と買い物に行ったら話しかけてきた怪しい女がいまして、
雰囲気は違うんですがブリギッテさんに似ていたもので・・・」
「昨日・・・あなた、お休みでしたね・・・」
ブリギッテは休みのときはブリザードになっているはずと
思ったユディット。
少し考えて言った。
「なるほど、だいたいわかりました・・・。ブリザード!!」
「うっ」
静電気にでも当たったかのようにビクッとして上を向くブリギッテ。
そして、ゆっくりとリョウたちの方を向いたときには顔つきと
雰囲気が変わっていた。
「よっ!」
驚くリョウたちに、右手を挙げて挨拶するブリギッテことブリザード。
まぎれもなくリョウたちが昨日会った女である。
「すまんすまん、悪気はなかったんだ」
「え?!・・・これは・・・二重人格?!」
サーチをして、昨日の女と同じ反応だと確認したリョウ。
「さすがリョウ様、よくご存じですね」
ユディットが感心したように言う。
「リョウ、何だ? そのニジュウジンカクというのは?」
とジュリア。
「一つの身体に人格が2つ以上あって、それが何かのタイミングで
入れ替わる・・・という解釈でよろしいでしょうか?!」
地球では精神病の一種であるが、この世界ではどういう扱いか
わからないので、なるべく差しさわりのなさそうな説明をするリョウ。
「はい、ほぼ合っています。おかげでこの娘はまわりの者から
疎まれていたのです」
「それを救ってくれたのがお嬢様だ。だから俺は一生お嬢様に
お仕えするんだ」
ユディットの説明にブリザードが付け足す。
「だって、どちらの人格もいい娘ですもの。逆に、1人で
2人分だと思えば楽しいですわよ」
そう言って笑うユディット。
「なるほど・・・」
ユディット、ブリザードの主従を暖かい目で見るリョウ。
リョウのユディットへの好感度が上がったようだ。
「それで結局、ブリザード。あなた、リョウ様に何をしたの?」
ユディット、さっきまでとは打って変わって厳しい目でブリザードを見る。
「あ・・・い、いや・・・ちょっとからかうつもりだっただけで・・・」
あわてるブリザード。
「リョウ様をからかう?!」
ユディット、語尾が上がる。
「ひっ!」
ブリザード、思いっきりビビった。
「あ!え~~っと・・・」
リョウが2人の間に入る。
「何も害はありませんでしたので問題ありません。
昨日の彼女がブリギッテさんだとわかったのでもう十分です」
リョウとしては、疑問が解けてスッキリしたし、人格が変わると
サーチの反応が変わるとわかっただけでも収穫があった。
ユディット、リョウを少しの間見つめて・・・。
「リョウ様がそうおっしゃるのならいいでしょう」
「は、はい。リョウ様、申し訳ありませんでした」
ブリザードがリョウに向き直って謝る。
「それでユディット様、お願いしていた件は・・・?」
ブリザードに『もういいよ』と言うように会釈したリョウは
ユディットに向き直って今日来た用事について話す。
「はい、呼んであります」
ユディットがそう言って手を叩いて合図をすると、少し離れて
控えていた2人の男がやって来た。




