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268 双掌打

今回、区切りが悪くなったので、少し短いです。

「のぉ~~、本当にそれを食べるのか?!」

ブレンダ、ホクホク顔のリョウとは対照的に浮かない顔をして、

リョウから少し離れて市場の通りを歩いていた。


もちろん原因はスルメである。


「足が何本もあるだけでも嫌なのに、変な粒々(つぶつぶ)

いっぱいくっついてるんじゃぞ!」

リョウの持つスルメを少し離れて見ながら言うブレンダ。


「足は10本、そしてこの粒々(つぶつぶ)は吸盤が乾いたものですね」

リョウは買ったスルメを1枚残して、収納バッグに入れた。

そして、その1枚残したスルメを見せながら説明する。


「足のうち2本は他の足と形が違って先のふくらんだところだけに

吸盤があるでしょ・・・」

「い、いや。説明してくれというわけじゃないんじゃが・・・」

楽しそうに説明するリョウであるが、ブレンダ、有難迷惑ありがためいわくである。


理系男子のダメな部分である『説明好き』がでてしまったリョウである。


「これは触腕しょくわんと言ってこれをうにょんと伸ばして先の吸盤に獲物を

くっつけて引き寄せ、他の足でからめとって動けないようにして、

食べるんです。

ほれ、こんなふうに・・・」

リョウは、スルメの2本の触腕をそれぞれ両手に持って、

ブレンダの頬にペトッとあてた。


「くぁwせdrftgyふじこlp;@!!!!!!!」

ブレンダは、言葉にならない奇声を発して顔を背け、スルメを

両方の手のひらで突き返す。


ブレンダ当人は知らなかったが、それは中国拳法で『双掌打そうしょうだ』と

言われる技であった。


「ごげぺでゅれにょぽあっ!!!」

スルメごしの双掌打そうしょうだをまともに胸にくらって吹っ飛ぶリョウ。


これが後にバー〇ャファ〇ターのア〇ラの持ち技として採用される

烏賊浸透勁双掌破イカしんとうけいそうしょうはである。(そんなわきゃない!!)


後方には市場の通りが続いていたので、リョウが5mほど

吹っ飛んだだけで他に被害はなかったのが幸いであった。

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