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259 王母

年齢は40~50歳ぐらいだろうか、平均寿命が低いこの世界では

初老と言っていいはずだ。

「賢者リョウ様でいらっしゃいますね?!」

女性が聞く。


これぐらいの年齢でリョウを賢者と呼ぶ女性ということは・・・

「やっぱり、BBAババアネットワークの・・・」


「は?!ビービーエー・・・?」


「あ、いえ、何でもありません。イレーネ・ガリア様のお友達の

方でしょうか?!」

思ったことが口にでてたようだ。

『ババア』と発音しなくてよかったと思うリョウである。


「え?!名前は存じておりますが、友達とまでは・・・」


(ありゃ!違うのか)

リョウの予想は、はずれてしまった。


「失礼しました。リョウ・F・カーラと申します」

胸に右手をあてて礼をしながら名乗るリョウ。


「貴様!膝をつかんか!このお方を誰だと思っている?!」

クラウスが横から叫ぶが、


「やかましい!」

ゲシッ!

「ぐはぁっ!」


リョウの横蹴りを顔面にくらってふっとぶ。

スイート・フェイス・ミュージックである。(今、名付けました)


「う~む、りないアホと言うべきか、根性があると見るべきか

ある意味面白い奴じゃな・・・」

ブレンダはそう言いながら、気絶したクラウスを拾った棒で

突っついていた。


それを見たリョウは、『ア〇レちゃんか?!』とツッコみたくて

仕方がなかった。


女性は驚いた顔をしてリョウとふっとんだクラウスを交互に

見ていたが、気をとりなおしてリョウに名乗る。

「私は、ヴェローナ・シルフィード、カテリーナの祖母よ。

孫が迷惑をかけているみたいね」


クラウスが『膝をつけ』と言ったので、もしかしたらと思ったが

やはり王族であった。

王女であるカテリーナの祖母ということは国王の母・王母ということか。


「いえ、私のほうこそ、他国から来て礼儀知らずのため無礼を

はたらくことも多いのですが、ありがたいことに大目に見て

いただいております」

言葉の裏で『だからあなたも大目に見てくださいね』と言うリョウ。


「あら、おほほほ・・・」

ヴェローナは少し笑った後、

「よかったら、私とも仲良くして頂戴ね」

と言った。


リョウの言った言葉の裏の意味を理解してくれたようだ。


「はい、こちらこそお願いします。ただ・・・」

リョウはわざと少し間を空けて言う。


「エステをしてほしいというのは、ご勘弁願います」

もし彼女にリョウ式エステをしたら、ウィスラー伯爵の義母マルティナの

エステの結果を見たアントウェル侯爵夫人のように、依頼が来ることは

間違いない。

まして王母とあれば、その影響力はとんでもないだろう。


そんなのは御免なので、とりあえずリョウはこの王都ではエステを

封印することに決めていた。


「そのエステというものがどういうものかわからないけど約束します。

それよりお昼御飯を食べに来ていたのでしょう。

一緒に食べましょう」


後にヴェローナは、約束したことをとんでもなく後悔することに

なるのだった。

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