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248 リリエンタール公爵家 その4

「おや?!震えておるの。怖いのかえ?」

アレッタがアレンに聞く。


「う・・・う、うん・・・」

肯定か否定かわからない返事をするアレン。


「大丈夫じゃぞ。この神使タイガ殿は、救済の旅で数々の治らないと

あきらめられていた者たちを治療したお方じゃ」

アレンの頭を撫でながら言うアレッタ。


「えっ!本当なのですか?!」

一旦タイガを見た後、マーティアに向き直って言うアレン。


そのアレンの驚きと期待の混ざった視線を受けながら言うマーティア。

「はい、おかげで救済の旅は大成功でした。現在、私もタイガ様に

弟子入りして教えをいただいているところです」


「聖女様が弟子入り?!!」

驚いて、またタイガを見るアレン。


その目に映るタイガは先ほどまでより頼りがいがあるように見えた。


漫画なら背景に集中線が入って、『ババ~~ン』とか効果音がつく

ところである。


(この程度、私にとってはたいしたことではありません。

少し寝てる間に治して差し上げます)

骨伝導でそう言うタイガを期待と尊敬の目で見るアレン。


タイガ、いやリョウの性格として、普段ならこういうときは謙遜するが

今回は目の前の少年を元気づけるために自信たっぷりに言った。


「お願いします!神使様!!」

不安がなくなったアレンが言う。


「では、ゆくぞ!睡眠(スリープ)!!」

ベッドに横になったアレンに魔法をかけるアレッタ。


あっさり眠りにおちるアレン。

麻痺(パラライズ)!!」

さらに呪文を唱えるアレッタ。


心臓が動いていると治療がやりにくいので動きを弱めたのだ。

しかし、このままでは全身にまわる血液が少なくなり、特に脳が

酸素不足で障害がでる可能性が高くなる。

そこで・・・


「ヒール」

マーティアが血中の酸素濃度を調整し、ダメージを受けた細胞を

修復していく。


アレッタことブレンダがいなければ、今までの作業をマーティアが

ほぼ1人で受け持たなくてはならなかったはずであった。

しかも、ダーク聖女から聖女にチェンジしながらである。


それが、マーティアのダーク聖女モードに匹敵する闇魔法の

使い手であるブレンダが加わったことで、マーティアは

アレンの容態のケアだけに集中することができたのであった。


そして、いよいよ神使タイガの出番である。


先ほどのサーチで、アレンの障害は心臓の左右の心室の間の壁に

穴があいているためだとわかった。

専門的には、心室中隔欠損症と呼ばれるものであるが、もちろん

タイガことリョウはそんな名前は知らない。


穴があるため肺で酸素を受け取った血液が全身をまわってきて

二酸化炭素を多く含んだ血液と混ざり合ってしまう。


そのため、全身に十分な酸素や養分がいきとどかなくなり

心臓や肺に大きく負担がかかり、運動時の息切れ、動悸などがおこり、

病気に対する抵抗力も低下してしまう。


もちろん、治療はこの穴をふさいでしまえばいいが、さすがに

簡単なことではない。


タイガはアレンの胸・脇・背中を触りながら立体的にサーチして、

ヒールで慎重に細胞分裂の方向を調整しながら、穴をふさいで

いくのであった。

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