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25 飴

朝食の席である。


「リョウは、今日はどうするつもりかね?」

シュタイナーが尋ねる。


「アルフレッドさんと小屋の打ち合わせをした後、街にでるつもりです。

まずは、冒険者ギルドに登録したほうがいいかと」

「ほう、ならば、紹介状を書いておこう。

出かける前に、取りにきたまえ」

「はい、ありがとうございます」


「それなら、案内にレイナをつけるわ」

アンジェリカが言う。

役目の半分は監視だろうが、何も問題ないので

「お気遣いありがとうございます」

と素直に受けておく。


「ボクも行く~~」

フェルナンデスは、甘えんぼモードだ。

「私も行きますわ」

マリエールも行きたがる。


「ダメですよ、あなた達は習い事があるでしょう」

母親のマーガレットがたしなめる。


「一日ぐらい、いいでしょう」

「そうですわ、毎日ちゃんとやってますもの」

子供達が駄々をこねる。


邪魔だからダメとは言えないし・・・と考えるリョウ。

あるものを思い出した。


「マリエール様、これはご存知ですか?」

収納バッグから手のひらサイズの木の箱を取り出し、

開けて、中身を見せる。


「まあ、きれい。ガラス・・・じゃないわよね?!」

中には色とりどりの飴が入っていた。

非常食として、神様に持たされたものである。


「どうぞ、ひとつとって食べてみてください。

あ、噛まないで、舐めるんです」

「食べ物ですの?!」

どの色にするか少し迷った後で、黄色の飴を

つまんで口に持っていくマリエール。


少し舐めて、

「甘いですわ。それにいい香り」

気に入ったようだ。


「ねえねえ、ボクも」

フェルナンデスも1つとり口に入れる。


「おいしい!何?これ」

「私の国のお菓子でキャンディーとか飴といわれるものです」

やはり、飴はなかったようだ。

「お2人がいい子にしてたら、そのうちここでも作れるように

しますよ」


「これが作れるようになるんですの」

「うん、いい子にしてる!」

子供達の食いつきがすごかった。


「マーガレット様、箱ごと差し上げますので、皆様でどうぞ」

リョウは飴の箱を、マーガレットのほうに押し出す。

「いただくわ」

マーガレットは飴を1つとり、シュタイナーたちのほうに

箱を差し出す。


シュタイナー、イレーネ、アンジェリカも1つとって

口に入れ舐める。


「まあ、おいしい。リョウ、これは作り方は難しいの?」

イレーネの問いにリョウが答える。

「難しくはないんですが、砂糖を使うのでここでは

値段が高くなってしまうかと」


「ふむ、もてなしや贈答用に使えそうだな」

「あら、それはいいわね。きっと喜ばれるわ」

シュタイナーの案にアンジェリカが賛同する。


「ならば、材料が揃ったら試作してみます」

「うむ、よろしく頼む」


「では、失礼して裏庭に行きます。アルフレッドさん、

案内お願いします」

「かしこまりました」


リョウはアルフレッドと裏庭に移動するのだった。

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