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238 コンサート in カフェ その3

「恋の歌を歌っていただけませんか?!」

2曲演奏が終わって最後の曲というときに、ユディットがリクエストを

してきた。


2曲ともクラシックで格調高く・・・というつもりでやったが、

彼女には、いまひとつ物足りなかったらしい。


「どんな感じがいいでしょうか?暖かく包むような曲、滔滔とうとう

愛をつづる曲、激しく情熱的な曲などいろいろありますが」


「情熱的なのがいいですわ!」

ユディット即決であった。

「リョウ様が私に告白する感じで!!」


「お断りします!」

リョウも即答である。


「貴様!お嬢様では不満だというのか!!」

とブリギッテ。


「いや、めろよ!!平民が貴族、それも公爵家令嬢にそんなこと

しちゃダメだろ!!」

リョウはそう言ってステージに戻る。


(情熱的か・・・情熱・・・ラテン・・・ラティーノヒート・・・

ビバララッサ!・・・いやそれは2代目ブ〇ックタ〇ガーで、

騙してズルしていただきの人だ・・・)

思考が変な方向にいってしまったリョウ。


そして

(うん、フラメンコだな)

曲が決定する。


タンタンタンタンタンッ


手拍子をしたあと青山を構え、軽やかなステップを踏みながら

前奏を弾き始める。


そして、ダンッと両足を揃えて強くステップして演奏を一旦止め

少し空白の時間を作った後、


「アイニーニャ~~~♪」


高らかに歌い始めた。


第一声の後、演奏とステップを再開し情熱的に歌い続ける。


ジ〇シーキ〇グ〇の名曲ジョ〇ジョ〇である。


一番を歌い間奏のときに、リョウは店の女性客の方に行きアピールして

サービスをする。


ユディットへのあてつけである。


貴族の奥様・お嬢様方、赤くなって照れている。


リョウはそのまま2番を歌い始め、さらにアピールした後、ステージに

戻り最後まで歌い上げた。

女性客、大喜びであったが男性客からは反感を買ったかもしれない。


リョウは観客に頭を下げ、青山を収納バッグに入れ、ユディットたちの

ほうに行く。


「では、今度こそ失礼させていただきます」


「あら、うちの馬車でお送りします・・・というより、

そうなさったほうがいいですわ」


「え?!それはどういう・・・?!」


リョウがどういう意味かを聞こうとしているのをブリギッテがさえぎった。

「このまま出ようとしたら、お前、あいつらに取り囲まれるぞ」


リョウが振り返ると、客の多くが獲物を見る目でこっちを見ていた。

今は公爵家令嬢のユディットと話しているので遠慮しているようだが

1人で出入り口に向かおうとしたら、彼女の言ったとおりになるだろう。


「リョウ様とお近づきになりたい方がいっぱいですから」

ユディットが微笑みながら言う。

「というわけですので、一緒に出ましょう」


そう言ってリョウの左腕に自分の右腕をからませるユディット。


リョウとしては、ダッシュで駆け抜けるという選択肢もあったのだが

こうなっては仕方がない。

ユディットをエスコートして出入り口に向かう。


さすがに公爵令嬢をエスコートするリョウをさえぎる者はいない。

そればかりか、客や店員から拍手で見送られた。


(結婚式か?!)

とツッコミたいリョウ。


店を出ると公爵家の馬車と御者が待っていた。

陰の護衛の者たちから連絡がいっていたのであろう。


公爵家の長女であるユディットの護衛がブリギッテ1人ということは

ありえない。

リョウのサーチでも2人は確認できたが、一般人に紛れて少なくとも

あと2~3人はいるはずである。


そして、リョウたちを乗せて馬車は聖教会へ向かうのであった。

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