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24 朝練

リョウは、剛斬丸を収納バッグに入れて話の続きをする。

入れるときに、シュタイナーとフェルナンデスが

悲しそうな顔をしたが無視である。


「一軒家を借りたいのですが、どうやったらいいのでしょうか」

「うちに泊まってくれて、かまわないのだが」

「いえ、そういう意味ではなくて、器具を作成したり

実験をしたりしたいので・・・作業場やアトリエみたいな

ものがいいんですが」

それなりに快適なら住んでもいいが。


「それなら、裏庭に小屋を建てるというのはどうかね?

そのほうが管理や報告などが楽だと思うのだが」

「そうしていただけるのなら、お願いします」

一番の理由は、技術を他に漏洩させないで独占するためだろう。


初期投資をしてもらうので、ある程度の期間、独占してもらって

それなりの利益をあげてもらったほうがいいと思い承諾した。


「細かいことは、執事のアルフレッドに話してくれ」

執事が頭を下げる。

「では明朝、場所を見せてください」

「かしこまりました」

執事が答える。


話も終ったので、リョウは泊めてもらう部屋へ案内してもらう。

フェルナンデスが『ニホンの話をしてくれ』とせがんできたが、

『疲れてるので、また明日』ということにした。


そして、案内された部屋のベッドへ・・・


うん、何もなかった。

レイナさん、夜這いしてくれてもいいんだよ。



次の日の朝。


「リョウ!!朝の鍛錬しよう!!!」


フェルナンデスが起こしにきた。

ほんと、脳筋である。

まあ、辺境伯という、軍事に重点を置かなければ

ならない家の男子だから、当然と言えば当然なのだが。


行けば、どうせシュタイナーが待ち構えているんだろうが、

鍛錬はしておいたほうがいいし、シュタイナーの腕前も

見ておいたほうがいいと、気持ちを切り替えた。


着替えてついていくと、予想通りシュタイナーがいた。


「おはようございます、シュタイナー様」

「おはよう、リョウ。軽く、朝の鍛錬に付き合ってくれ」

「はい、身体をほぐしますので、少しお待ちを」


リョウは、準備運動をする。茶目っ気で、ラジオ体操も

入れたりした。


フェルナンデスは、剣の素振りをしているが、

2人の戦いが楽しみで、準備運動をするリョウを

ちらちら見ている。


「練習用の剣をお貸し願えますか」

「両手剣でいいのかな?!」

「はい」

借りた剣は木製で刃にあたる部分に布が巻いてあった。

シュタイナーも両手剣を選んだ。


「では、いくぞ」

「よろしくお願いします」


シュタイナーが先手をとって斬りかかる。

リョウは、それを受け流しながら、踏み込み下から肘打ちをかます。


胸に当たったが、かすっただけで、逆にシュタイナーの

膝蹴りがきた。


身体を捻りながら離れて距離をとる。


「ほう、やはり格闘術も身につけているか」

「大剣は接近戦に弱いので、格闘と組み合わせないと

いけないというのが、師の教えですので」

「よい師にめぐり合ったようだな」

「ええ、ニホン最強です」

本当は世界最強だが、さすがにそれを言うのはまずいだろう。


2人は、その後20数回打ち合った。


フェルナンデスは、父がこれほど本気をだして戦うのを

見るのははじめてだった。

そして、改めてリョウの強さを認めた。


最後はリョウが力負けする形で「参りました」と言った。

身体強化を使わなければ、こんなものだろう。


「その若さでたいした腕だ。朝からいい汗をかいた」

シュタイナーもリョウの強さを確認して満足のようだ。


「では、汗を流したら、朝食にしよう」

3人は、館の中に入っていった。

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