235 ユディット
明日、新〇ク〇大戦が発売されるので
しばらく更新ペースが乱れるかもしれません。
悪しからず。
ブリギッテは移動して、後から近づいてきた女性の邪魔にならない場所に
控える。
「初めまして、私はウィッツレーベン公爵家長女ユディットと申します。
異国の賢者リョウ様でいらっしゃいますね」
女性は名乗りながら見事なカーテシーを決める。
リョウは立ち上がって胸に手をあて頭を下げる。
「ご丁寧なご挨拶、痛み入ります。リョウです」
何で自分のことを知っているのか聞きたかったリョウだが、まずは挨拶だ。
ニンジャじゃなくても常識である。
「よろしければ、お座りになりませんか?!」
リョウはそう言ってテーブルをはさんだ向かいの席をすすめる。
「ありがとうございます」
ユディットがそう言うと、すかさずブリギッテが椅子をひく。
ユディットが座るのを待って、リョウも自分の席に座った。
改めてユディットを見るリョウ。
金髪碧眼の正統派の美人というかんじである。
その顔つき特に目に見覚えがある気がしたリョウ。
公爵家といえば、貴族の最高峰であり王族の血筋のはず・・・。
「もしかして、カテリーナ様から私のことをお聞きになりましたか?」
思い当たった第三王女の名を言うリョウ。
「はい。彼女から聞いて、お会いしたいと思ったのですが、
今は聖女様の救済の旅に同行なさっていると・・・。
それが今日、偶然こんなところでお会いできるとは思いませんでしたわ」
嬉しそうに言うユディット。
見たかんじ、カテリーナよりも2~3歳、年上だろうか。
雰囲気が柔らかく、性格がよさそうに見えるが油断は禁物である。
貴族、まして公爵家ということは、権謀術数に長けているはずだ。
下手なことを言って、言質をとられないようにしないといけない。
「さっき王都に戻ってきたところです。用事があったので私はちょっと
別行動をした後に、ここで一休みして今から教会に帰るところです」
今から帰るから時間はないよ、という意味をもたせて話すリョウ。
「まあ、せっかくお会いできたのに、このままお別れするのは残念ですわ」
(ほうら、きた)
と思い、心の中で身構えるリョウ。
「学園では、見事なフルート演奏をなさったと聞きましたわ。
よろしければ、一曲お願いできないかしら?!」
(そっちか~~い!!)
リョウはてっきり、料理かお菓子をねだられると思って、収納バッグに何を
入れていたか思い出そうとしていたところであった。
肩透かしをくらった気分である。
「しかし、ここでは・・・」
周りを見ながら言うが
「大丈夫ですわ。ここには、吟遊詩人や歌手・演奏家のためにミニステージが
ありますの」
ユディットの示した店の一角には、カーテンで隠されているが、
たしかにステージのようなものがあった。
「ブリギッテ、伝えてきて」
そしてリョウの返事を待たずに店員にステージの使用許可をもらいに行かせる。
(決定事項か~~い?!)
心の中でツッコミまくりのリョウ。
まあ、演奏だけなら、ある意味料理やお菓子よりも面倒じゃないからイイカ。
と、思い直す。
店員が来て、楽器など必要なものがあるかを聞いてきた。
「大丈夫です、これがありますから」
そう言ってリョウは収納バッグから『青山』を取り出す。
「「「 !!!!! 」」」
『青山』を見て、その独特なフォルムと完成度に驚くユディットたち。
「リ、リョウ様、その楽器は・・・?」
「リードとベースが両方ついたダブルネックリュートというもので、
銘を『青山』と言います」
周りの客たちも驚く中をリョウはゆっくりとステージに向かって
歩いていくのであった。
「痛み入ります」は最近ではあまり使われないようですが、
「恐縮です」や「恐れ入ります」より合ってる気がしたので
使いました。




