表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
216/520

215 ドラゴン

休憩所を出発し、なごやかな雰囲気で女子会の続きをしていた

マーティアたちだが・・・。


「緊急停止!!!」

突然、マーティアの顔色が変わり、叫んだ。


何事かと思いながらもグレイシアは御者席との小窓を開け、

「緊急停止だ!」

と叫び、


コリーヌは窓から身体を乗り出し、全体連絡用の笛を吹く。


ピュイーー!!ピピー!!


それを聞いて、コリーヌが吹いたと確認した神殿騎士が全体に伝える。


「全体停止~!」

「全体停止~!」


そして、護衛隊長のレオンがマーティアたちの馬車の側にやってきた。

「どうしました??!!」


「前方に巨大な何かが現れました!すぐに確認を!!」

マーティアが叫ぶ。


マーティアのサーチは、まだリョウには及ばないものの充分に実用の

レベルに達している。


そのサーチに今まで感じたことのない巨大なものの反応があったのだ。


マーティアの言葉にレオンは神殿騎士2人に偵察の命令をだす。

ジュリアは馬車を下りて、御者席から天井に登り、視覚強化スキルを

最大にして前方を確認する。


しかし、すぐにその必要はなくなった。


その巨大なものは、高速で空を飛んで接近してきたため、誰の肉眼でも

確認ができるようになったのだ。


「ド、ドラゴンだとおっ?!!!!」

リオンの声が響く。


ドラゴンは空中を一旦通り過ぎ、旋回して聖女一行を確かめるようにした後

前方に着地した。


風圧で土ぼこりが舞い上がる。


実はリオンはドラゴンの討伐経験があった。

彼がまだ王国軍にいたときに、村を2つ壊滅させたドラゴンを討伐したのだ。


そのときはおよそ30人の騎士と50人のサポートによって何とか倒すことが

出来たが、こちらの被害も大きかった。


では、今回はどうか?


神殿騎士が8人とサポート出来そうな者が数名。

神殿騎士の能力を考えれば同等に近いと言えるかもしれない。


しかし、リオンの判断は、『無理だ!!』というものだった。


なぜなら、今、目の前のドラゴンは彼の記憶にあるドラゴンより2回りは

大きく、与えてくる威圧感がはるかに大きかった。


そう、まさに『格が違う』のである。


(落ち着け!何としても聖女様だけは・・・)

リオンは頭の中で『聖女様だけでも生き延びてもらう』ための最善の方法を

模索する。


そして彼がだした指示は・・・


「馬車は回頭してそれぞれ違う方向に逃げろ!神殿騎士はドラゴンを取り囲め!

少しでも時間を稼ぐぞ!!」


ドラゴンがいきなりブレスを放ってこなかったのは幸いであった。


ブレスで吹き飛ばしてしまっては、食べることができないとでも判断した

のだろう。


3台の馬車が別々の方向に逃げれば、追われても2台は助かるはずだ。

願わくば、1/3の悪い確率をひかないでくれることのみ。


うまく時間を稼げれば、3台とも助かるかもしれない。


「わしは残る、お前達は行ってくれ」

「おい、わしも残るぞ」


ドワーフが2人、馬車から降りた。

2人とも手には戦斧バトルアックスを持っている。


リオンの考えを察したのだ。


「私も残ります」


さらに1人降りた。

火魔法使いだ。


牽制けんせいぐらいにはなるはずです」

火魔法使いは、そう言って笑った。


「お前達・・・すまん!」

そう言ってドラゴンに向き直るリオン。

1秒でも2秒でも多く時間を稼ぎたい今は、彼らの申し出は

ありがたかった。


すでに神殿騎士たちはドラゴンを取り囲んでおり、馬車も向きを変えて

それぞれの方向に走り出そうとしていた。


そのとき、付近一帯に声が響いた。


「待て!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ