212 続・女子会
「お尻を触られて思わずその貴族を殴り倒してしまったんです。
それでその貴族の護衛が襲い掛かってきて、それも殴り倒しました」
「わはははは・・・、よくやった!」
現在、馬車の中ではジュリアにより、リョウとのデートの話が語られていた。
そして、ジュリアの話に乗り気じゃなかったはずのグレイシアが
一番はしゃいでいた。
「そこにリョウが駆けつけてくれて・・・」
さらに話は続く・・・。
「は?!斬った?!!剣を?!!!」
信じられないという顔のグレイシア。
もちろん、他の者も驚いている。
「ボムリザードの心臓を突いたときに使ったやつか?!確かに相当な
業物だとは思ったが、剣を斬るとは・・・」
とブレンダ。
「なんでも、リョウの国の伝統的な製法で作られたもので、国の名前を
とってニホントウというそうです。ただ、リョウが使っているのは
護身用や予備に使われる短いもので、脇差しというそうです」
ジュリアが説明する。
「ということは、戦闘時は長いものを使っているのか?!」
ブレンダが聞く。
「ああ、ブレンダさんは見たことがなかったんですね」
ブレンダが初めてリョウたちの前に現れたのは、ボムリザードの狩りで
リオン隊長が失敗をしたときだ。
その後はリョウは脇差ししか使っていなかった。
村役場の食堂でも『爆発音を聞いて』と言っていたので、リョウが剛斬丸で
ボムリザードの首を斬ったところは見ていないはずである。
「何のことじゃ?何を見ていないと?」
ブレンダは聞くが、
「いえ、実物を見ないとわからないかと・・・」
とジュリア。
「そうだな・・・やはり実物を見ないと・・・リョウが追いついたら
見せてもらえばいいさ」
グレイシアも同意する。
「何じゃ?!お主たちは!リョウもじゃが、もったいぶるのが好きじゃのう」
ブレンダご機嫌ナナメである。
「それより、まだブローチを買ってもらった話が終っていませんよ」
マーティアが話を戻す。
「おう、スケベ伯爵をあしらってからどうしたんだ?」
グレイシアが聞く。
「その後、支配人室に移動して店員さんが選んだブローチとペンダントを
持ってきてくれました」
「それで、リョウがブローチを選んでくれたのか・・・」
そう言うグレイシアに、ジュリアは意地の悪い笑顔を見せる。
「えへへ~~♪」
そして、首元に手をやって鎖をつまみ、ペンダントを胸元から取り出した。
「正解は、『両方とも買ってくれた』でした」
「この野郎!」
グレイシア、ジュリアの頭を抱え込み、グリグリする。
「痛い!痛い~~!!」
そう言いながら、笑顔のジュリアである。
馬車の中の女子会は、にぎやかに休憩所に着くまで続いたのであった。




