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21 蒸留酒

「もちろん、報酬はいただきます」

「ああ、それは当然だ。金銭その他、なるべく希望に応じよう」

あっさりとリョウが承諾したことによって、肩透かしを

くらったような気持ちになりながら、シュタイナーが答える。


リョウとしては、もともとそれが目的なのでタダでもいいのだが、

それでは、何か裏があると勘ぐられてしまう。

それに、どうせ生活費を稼がないといけない。


「軍事に関することはあまりお伝え出来ませんが、

生活や農業などなら、だいぶお役にたてるんじゃないかと・・・

例えば、お酒はどうでしょう?」

ワインの入ったグラスを手にするリョウ。


「酒をどうするのかね?」

「酒の酔うもとになる成分を、私達はアルコールと呼んでいます。

それを蒸留という方法で濃くした蒸留酒というものがあるのですが

ご存知ですか?」


「ドワーフ酒か?!」

「あ、あるんですね、では他のものを・・・」

あるのなら仕方がないと、リョウが思っていると。


「いや、ドワーフしか知らない技術だ。ぜひ、教えてもらいたい」

「ドワーフの専売ということは、ここで作ったら

ドワーフとトラブルになりませんか?」

「いや、作ったほとんどをドワーフたち自身が飲むので、

ほとんど流通していないのだ。逆に自分たちが飲む分が増えると

喜ぶんじゃないかと思う」

やはり、この世界のドワーフも、酒好きのようだ。


わりと簡単な技術なので、これでいいなら楽だと思うリョウ。

まずはリービッヒ冷却器みたいなのものを作ってみようと考えた。


「では、まず簡単な実用模型を制作して、試作をしましょう。

それで原理を理解していただいたら、原料のワイン等のできる時期に

合わせて、量産の準備をするということでいかがでしょうか」


ワインを蒸留すればブランデーが出来るが、ワインの絞りかすを

蒸留してもグラッパと言われるブランデーの一種ができる。

捨てるか、肥料や飼料にするしかない絞りかすから作るグラッパなら

生産コストも安くつくと考えたのだ。


「うむ、ワインの時期はまだ先なので、その間に細かいことを

決めることにしよう。よろしく頼む」

実は、シュタイナーは、ドワーフ酒が好きなのだが

なかなか手に入らなかった。それが、作れるようになると

思うと、内心ウキウキであった。


そして、リョウも最初の仕事がわりと簡単にいきそうなので

ほっとしていた。そして思った。

バ○・レ○ンハ○トを読んでいてよかった・・・と。

リョウは、馬車の中でアンジェリカに、エルフやドワーフなどが

いることをすでに教えてもらってます。

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