208 ヴェストン村その7
「じゃあ仕方ないか・・・随行している教会の鍛冶職人さんに頼むにしても
移動しながらじゃ作業出来ませんし、村や町では奉仕活動のほうが優先ですし、
とりあえず保留ですね」
残念そうなリョウ。
ホットサンドメーカーを作り慣れているドワーフの職人のバウールならともかく
それなりに腕はいいが人間の職人、しかも作ったことのないものでは
どれだけ時間がかかるかわからない。
(またここに来てバウールに頼むか、それともガリアに帰ったときにガラントに
頼むか・・・)
などとリョウが考えていると、
「そんなのは、ダメじゃ!!」
もっと残念に思っている者がいた。
ブレンダである。
「わしが食べられないではないか!!」
「いや、今言ったように仕方ないですよね?!約束どおり、明日、別のお菓子を
作ってあげますので」
リョウがなだめようとするが。
「それはそれ、これはこれじゃ!」
「それ、言葉の使い方がおかしいですよ」
「とにかく何とかするのじゃ!」
「あなた、王女様でしょ?!庶民に無理を言うものではないですよ」
「今のわしは庶民だからいいのじゃ!」
この王女、別の意味でも残念だった。
「なあ、もうコイツ追い出していいんじゃないか?!」
ついに我慢出来なくなったグレイシア。
「そうですね。この分じゃ王都に着いても付いていくと言いそうですし」
ジュリアも賛同する。
「なっ!何ということを言うのじゃ?!わしはちゃんと・・・王都に・・・
着いたら・・・」
ブレンダ、歯切れが悪い。
「王都に着いたら、ちゃんとリョウと別れます?!」
ジュリアの追撃。
「うぐっ!・・・」
「あ!やっぱりコイツ、付いてくるつもりだったな!!」
とグレイシア。
正直、ブレンダは王都に着いた後もなんとかリョウに付いて行けないかと
考えていた。そして・・・
「王都に着いたらこの一行は解散じゃろ。だからこの一行からは別れるが
リョウ個人に付いて行くのはリョウ次第じゃろ?!」
思いついていた言い訳をする。
「のう、リョウはわしと一緒なのは嫌か?」
上目づかいでリョウに甘えるブレンダ。
しかも、軽く腕を組んで巨乳を強調するオマケつきである。
リョウの巨乳好きを見抜いての行動である。
あざとい!
しかし、それもいい!
そして、リョウが承諾しそうになったとき・・・
「どっせ~~~い!!」
リョウの顔面にグレイシアが肘を曲げて腕の側面をぶつける。
このままではまずいことになると判断したグレイシア。
リョウを止めるために殴ろうと思ったが、さすがにパンチはまずいと
咄嗟の判断で振り上げた腕を曲げて骨が当たらないようにしたのだ。
だが彼女は知らなかった。
その技は地球のプロレスでアッ○スボ○バーと呼ばれる必殺技であった。
油断しきっていたリョウは壁までふっとび、ア○ト○オ○木のように
気絶したのであった。
さすがに舌は出してませんw




