207 ヴェストン村その6
そして、お茶の時間である。
「今回は、サンドイッチを焼いたもので、名前もそのまんまの『ホットサンド』
です」
リョウが説明しながらホットサンドの乗った皿を各人の前に置いていく。
「具は、ハムチーズ、ゆで卵、りんごの砂糖煮です」
マーティア、コリーヌ、ジュリアそしてリョウは1つのホットサンドを
4等分したものを、グレイシアとブレンダには2等分したものをそれぞれ
3種類である。
「おっ、ちゃんと約束どおりじゃな」
自分とグレイシアの皿とを見比べて同じ量なのを確認したブレンダは
満足気に言う。
「ちゃんとスツーカにも分けてあげるんですよ」
とリョウ。
「わかっとるわい!のう!」
「クエ~ッ!」
まるでスツーカの返事が合図であるかのように全員が一斉に食べ始める。
「なるほど!パンのふちをわざとはみださせたのは、焼いているときに
中身がはみださないためじゃったのか!!」
とブレンダ。
「そういうことです。あと、押しつぶされて焼かれたふちの部分が
カリカリになって別のおいしさがあるというのもありますね。
あ!、これをつけたらもっといいかな?!」
リョウはそう言って、バターとイチゴジャムの入った瓶を取り出す。
ブレンダは瓶を受け取り、具のある部分を食べてふちだけになったものに
イチゴジャムを乗せて食べる。
「お~~!!これだけで充分にお菓子じゃ~!」
気に入ったらしい。
ブレンダの様子を見ていた他の者たちも真似をしてふちにバターやジャムを
乗せて食べ始める。
「1つで2度楽しめて、得した気分ですね~」
「切らずにそのままなら中身が出ないので持ち運びに便利そうですね」
「美味いからどっちでもいいや」
「ふちの部分だけ作るって出来ないんでしょうか?」
いろいろ感想がでてるが、その中の1つでリョウはあるものを思い出した。
「全部ふちって・・・せんべい・・・いや、ワッフルか!」
ホットサンドメーカーの形を変えればワッフルメーカーになるはずだ。
「ワッフル?!・・・何?それ」
ジュリアが聞く。
「水で溶いた小麦粉を焼いたものなんですが、ワッフルメーカーという
専用の道具を使って独特な形にするのが特徴ですね」
「その道具は、あるの?!」
「ない・・・というかこの国には存在しないでしょうから、このホットサンド
メーカーを作った職人、バウールさんでしたか頼んでみようかと・・・」
「え?!予定では明朝、出発ですが・・・」
「あ!!」
顔を見合わせるリョウとジュリア。
ここでは土木作業がないのをすっかり忘れていたリョウであった。
一昨日、スーパーに行くと、特売でフ○パ○のサンドイッチ用
食パン(12枚入り)が100円(税別)。
さらにとろけるスライスチーズも100円(税別)。
これは、ホットサンドを作るしかないと買って帰りました。
・・・ハムを買うのを忘れてた_l ̄l○




