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205 ヴェストン村その4

散策から村役場に帰ってきたリョウたち。

そこにはすでに10人ほど治療を求めて来ていた。


予定の時間には少し早かったが、リョウはタイガの衣装に着替える。


「お主、神官じゃったのか?!!」

と、ブレンダ。


「あまり目立ちたくないので変装みたいなものです」

リョウはタイガの設定を話す。


「わしの混沌の翼(ケイオスウイング)相殺そうさい出来るんじゃから相当な聖属性の魔力が

あるとは思っておったが、聖女並とはのう・・・」

納得したようにブレンダが言う。


「ありゃ、触手を消した方法、気づいてましたか?!」


「デコピンの後にしたヒールで聖魔法使いじゃとわかったのでな」


「あ~~!それは失敗でしたね」

口ではそう言うが、失敗したとは思っていないリョウ。


そのうちばれるだろうと思っていたのだ。

思っていたよりちょっと早かったが。


「タイガ様、準備はよろしいでしょうか?」

リョウの準備の間に患者たちに説明をしていたジュリアがドアを少し開けて聞く。


「・・・・・・」


『はい、今行きます』と言いそうになったが、寸前で踏みとどまるリョウ。

まだタイガへの切り替えに慣れていないようだ。


ブレンダの肩に手をあて、

『では、さっき頼んだように助手をお願いします』

と、骨伝導で言う。


「うむ、まかせておけ」

胸を張って答えるブレンダ。

彼女の巨乳もぷるんと上下して一緒に答える。


とりあえず、心の中で拝んでおくリョウ。

そして2人で治療のためのベッドが用意された部屋に移動した。





ドワーフは少数種族で、この村の人口も200人余りしかないため希望者は

全員を治療することになっていた。


たくさんいるのなら治療しなかったのかというと、そこはそれという

やつである。


物事はどこかで線引きをしなければ際限がなくなってしまう。

『今回はそういう判断がなされた』というだけである。


ただ、ドワーフの男は『火傷や怪我は男の勲章』みたいな考えがあるらしく

生活に差し障りがある状態の者以外は、ほとんど来なかった。


大人の女性も最初は少なかったが、治療を受けた者を見て、最初は受ける気が

なかった者も来たため予定よりずっと多くなってしまった。

おかげでリョウたちは夕食もとらずに治療するはめになった。


ドワーフでも女性にとって美肌は魅力らしい。





「やれやれ、夕食がこんなに遅くなるとはのう・・・。

手伝ったご褒美は何じゃろな~?なっ、リョウ!」

リョウたちと遅い夕食をとりながら、ブレンダがおねだりする。


ブレンダは治療中、何も文句を言わずに手伝ってくれていた。

特に子供たちが騒いだり暴れたりしたときも叱りつけたりせずに優しく対応して

子供たちに大人気であった。


わがままな言動が目立つが、意外に面倒見がいいようだ。

これならばリョウとしてもご褒美をあげることに、やぶさかではない。


そして、少し考えてリョウは言う。

「では明日、私の国で大人気のお菓子を作ってあげましょう」


「本当か?!」


「はい、ブレンダさん、今日はいい子でしたからね」

リョウ、完全にお兄ちゃんモードである。


そのやりとりをジト目で見ているジュリアとグレイシア。


「ジュリア、これってまずくないか・・・?」

「ええ・・・あの子、リョウに甘える方法を身に付けてきたみたいですね・・・」

「王都に着いても付いてくると言いかねないな・・・」

「どうしましょう・・・」


2人でヒソヒソと話している。


そしてその4人の様子を生暖かい目で見ているマーティアとコリーヌであった。

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