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194 その夜

またもや放置プレイをくらったブレンダ。


「しまった!パイのことを頼みそびれた!!」

気がついたがもう遅い。


「う~~ん、ここで立っていても仕方がない・・・とりあえず、宿の夕食で

我慢するかの・・・」

肩に乗っているスツーカの方を向いてそう言うと、スツーカは『クエッ』と

短く鳴いて返事をする。

まるで、『そうだぞ』と言っているようだ。

そして、1人と1羽は、村役場に入って行った。




「こ、これは!!」

村長が驚きの声を上げる。


ここは、冒険者ギルドの解体場。

と言っても、普段は魔物の解体ではなく家畜の屠殺・解体に使われている。


狩ったボムリザードは王都で売る予定なので、ここでは処分しないのだが

村長がぜひ見たいというので、収納バッグから出して並べてあった。


首を斬られたものが5匹、心臓を一突きにされたものが10匹、そして

爆発したものが3匹である。


「計18匹。これぐらい駆除しておけば、しばらくはたまにハグレが

でるぐらいで済むしょう」

マーティアが村長に言う。


「は、はい、じゅ、充分です」

驚きが納まらない村長。

見物に来た職員たちも唖然としている。

「これは、すべて賢者様が?」


「あ、リオン隊長と半分ずつぐらいです」

リオンの方を見ながら、答えるリョウ。


「あ、ああ、私も武人として自分の腕を試してみたかったのでな」

リオン、ちょっと歯切れが悪い。


「おお!さすがですな。この胸に少しだけの傷しかついていないものなんて、

まさに神業としか言いようがないですな」

村長が言うが、それはリョウが脇差で突いて狩ったやつである。


リョウの剛斬丸のイメージが強すぎて、他の武器を使ったなんて

思いうかばなかったのだ。

たぶん、頭を斬ったものと失敗したものがリョウ、心臓を突いたものが

リオンだと思っているのだろう。


この後、接客室に移動し、村長に報告をした。


「マーティア様!」

報告が終って部屋を出た時、リョウがマーティアに声をかける。


「はい、何でしょう?」


「少し、お時間をいただけませんか?出来れば2人だけのほうが

いいんですが・・・」


「え?!リョウ様、私は聖女ですのでそういうことは・・・」

真顔でボケをかますマーティア。


「違います!!」

マーティアのボケだとわかっていたが、リョウの顔はちょっと赤くなっていた。

「ちょっと試したいことがありまして」


「試したいこと?!」


そして、30分ほどリョウとマーティアは、客室に2人きりで

何かをやっていた。




その夜、リョウはいつもの護衛配置である聖女の部屋の前の廊下に座っていた。


「んっ?!」

何かに気づいたように、一階への階段がある方を見るリョウ。


「ブレンダさん、この廊下は今は関係者以外立ち入り禁止ですよ」

何もない空間に向かって声をかける。


すると、その場所に人の形をした幽霊のようなもやが現れ、

だんだんと濃くなってブレンダの姿になる。


「ほう、これを見抜くか・・・どうやったのじゃ?」

ブレンダが聞くが、


「それはヒミツです」

右手の人差し指を立てて口の前にあて、ラッコと友達のナントカ猫の

ようなことを言うリョウ。


「まあ、対策をとられて自分が不利になるようなことはせんよな。賢者殿!」

ブレンダはそう言って、両手の手のひらを上に向けて胸の高さまで上げ、

肩をすくめる。


「普通にリョウと呼んでください。さっきも言ったように、賢者と

いうのは建前みたいなものなので・・・」

そう言いながら、リョウも同じポーズを返す。


「ふむ、余裕じゃのう。だが・・・」

ブレンダの目が光る。

「これは、どうじゃ?!!!」


ブレンダの言葉とともに、廊下の隅に細く張り巡らされて隠蔽されていた

魔力の翼がリョウの周りに現れ、触手の形をとって一斉に襲い掛かってきた。

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