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190 固有スキル

馬車の中で、リョウは魔族について説明してもらっていた。


それによると、魔族は海を隔てた北西にある大きめの島に住んでおり、

この大陸にはほとんどいないそうだ。

魔族の島の対岸にあるヌマーナ国の港町と漁業関係での交流があるが、

その他の国はたまに使節をやり取りするぐらいで、ほとんど国交はない。

さらに人族至上主義のフィルミア帝国とは敵対関係にあるが、国境が

接していないので、戦争をしているわけではないとのことだ。


マーティアやコリーヌたちも魔族を見たのは初めてだが、護衛隊長のリオンは

10数年前に王都のシルファンに使節が来たときに警備をしていて、

そのときに見たらしい。


「魔族は、その名のとおり魔法にけているそうです」

マーティアが言う。

「あのブレンダという魔族も相当な実力のようでしたし・・・」


「あの背中の翼は、魔力が実体化したものでしょうね。それを自在に

操れるというだけでもすごいですが、他にもいろいろとありそうでした」

リョウが同意する。


「あの翼、たぶん固有スキルですね」

「固有スキル?」

マーティアの言った言葉を、オウム返しに聞くリョウ。


「一般的なスキルは同じようなものを何人も持っていますが、

固有スキルは個人特有のスキルで、他に持っている者がいない上に、

強力なものが多いそうです」


「なるほど・・・、まあ、あんなスキルを持った者が何人もいたら

大変ですが・・・」

そう言いながらリョウは、彼女が敵対するようなことにならないことを

願っていた。


「彼女を取り込もうとは思わなかったのですか?」

ブレンダを残し、逃げるように撤収したことを疑問に思っていたリョウ。


「彼女を疑うわけではありませんが、今は旅の途中ですから不確定要素は

なるべく排除したほうがいいと判断しました。魔族がこんなところに

いるということは、何か事情があるでしょうから、それに巻き込まれたく

ないというのもあります」

というか、下手に彼女の事情を聞いて、お人よしのリョウがそれに協力すると

言い出したりすることを心配していたマーティアである。


「なるほど、護衛としても余計な心配をしたくないですね・・・」

とりあえず、リョウは納得したようである。


そしてグレイシアとジュリアは、新たなライバルになりかねなかった

ブレンダと別れてほっとしていた。


特にジュリアは、オリビアが学園を卒業した後にリョウの正妻となって

ほしいので、なるべくリョウの近くに女を寄せ付けたくなかった。

グレイシアのことは不可抗力みたいなものであったため仕方ないし、

側室で我慢してくれると思っている。




マーティア一行は、来たときと別の道を進んでいた。


フランツ家に行って報告し、狩ったボムリザードを見せればフランツの

孫の兄弟が喜んだだろうが、帰り道にも治療を予定している家があり、

時間的に無理だったのだ。

狩りの結果は、そのうちに村役場の職員などから伝わるだろう。


そして2つの家で合計3人の治療を済ませ、村役場に帰ってきたときには

もう夕方になっていた。


「ボムリザードは、どうでしたか?」

出迎えた役場の職員が聞く。


「問題なく駆除出来ました。詳しい報告は後でします」

たまたま近くにいたリョウが答える。


「それはよかった。ありがとうございます」

礼を言う職員。


「まあ、半分はわしのおかげなのじゃがな。なっ、リョウ!」


そう言いながら村役場から出てきたのは、ブレンダであった。

再登場、早すぎ!

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