184 続パイとパイ
「あ~、美味かった!!」
グレイシアが満足そうにむき出しの腹筋を撫でる。
「サクサクした歯ごたえの皮がよかったです」
コリーヌが同意する。
「これは、ミートパイ・・・でしたか。サンドイッチと同じように具を
変えれば、いろいろ出来そうですね」
とマーティア。
「あ、気づかれましたか。ちゃんと今日の休憩中に食べるために、
もう1種類、用意してますよ」
「お~!!さすがはリョウだぜ!」
喜ぶグレイシア。
マーティアたちも同様である。
「中身は何なの?」
ジュリアが聞くが、
「それは、食べるときのお楽しみにしましょう・・・あ、マリーさん、
内緒ですよ」
そう言いながらリョウは、マリーに向かって、自分の唇に人差し指をあてる。
「はい、わかりました。でも、私の分は・・・?」
上目遣いでおねだりするマリー。
彼女は狩りに同行しないので、休憩時間にいるはずがない。
「あ、そうですね、では・・・」
リョウは収納バッグからアップルパイを1個取り出し、紙に包んで
マリーに渡す。
「ありがとうございます!」
マリー、大喜びであるが、この数時間後、村役場の休憩時間中に
アップルパイを食べているところを女上司に見つかって半分とられて
しまうのであった。
今日は、リョウたちはボムリザードの狩りと駆除など、残りの者たちは
奉仕活動をする予定だ。
リョウに同行するのはマーティアたち4人と神殿騎士、馬車の御者、
そして、どうしてもという本人の希望で、護衛隊長も行くことになった。
残りの者たちは3グループに分けられ、1グループは村の中心部に残り、
2グループは点在する家々を回って、家屋や柵などの修理や体調の悪い者の
ケアなどをすることになっている。
「馬上から失礼する。ご夫人、ここはフランツ殿のお宅で間違い
ないだろうか?」
いきなり近づいてきた神殿騎士に声をかけられ、家の外で作業をしていた
女性と男の子2人はびっくりする。
「はい、そうですが・・・」
子供2人を後ろにかばうようにしながら答える女性。
「そうか」
そう言いながら神殿騎士は後ろに向かって手を上げて合図をして馬を下りる。
「警戒する必要はないぞ。私は、教会の神殿騎士だ。
フランツ殿が怪我をしたと聞いた聖女様が治しに来てくださったのだ」
そう言いながら、柵に馬を繋ぐ。
「え?!聖女様?!!」
驚く女性。
「おじいちゃん、治るの?!」
小さいほう、7歳ぐらいの男の子が駆け寄ってきた。
「ああ、もちろんだ。だから、きちんとお出迎えするんだぞ」
男の子の頭を撫でながら言う神殿騎士。
どうやら、子供好きのようだ。
「どうやったらいいの?」
もう1人の10歳ぐらいの男の子が聞く。
「うむ、まず片膝をついて・・・」
説明しながら自分もその姿勢をとる神殿騎士。
そうしている間に馬車が近づいてきた。
「「わぁ・・・」」
その豪華さは無いが落ち着いた重厚な作りに思わず声が出る兄弟。
馬車が4人の前で停まり、ドアが開く。
最初にグレイシアが出て、踏み台を置く。
次にジュリア、コリーヌと馬車から下りてくる。
そしてマーティアが下りてきた。
それを見た弟のほうの男の子。
「わぁ!おっぱい、でかっ!!」
マーティアと会ったときに誰もが思っていたことを
ついに男の子が言ってしまいましたw




