表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
182/520

181 乙女の怒り

リョウとグレイシアは倉庫を出て、並んで歩いていた。


「う~~~、あんなことやこんなことをされるなんて・・・」

グレイシアが、ぼやくがどことなく嬉しそうである。


「ふっふっふ・・・、次はそんなことや、こういうこともしちゃいますよ」

リョウ、単なるエロおやじである。


「何だと?!それなら俺は、そういうこととか、ああいうことをしてやる!!」

顔を赤くしながらも、対抗するグレイシア。


「それならこっちは、ああしてこうしてそうして・・・」

調子にのるリョウ。


「やめんか!このバカップル!!」

「ぐほっ!!」


リョウの腹に飛び蹴りが決まる。


やったのは、ジュリアであった。

聴覚強化スキルで全部聞いていたようである。


「2人が倉庫から出たから様子を見るついでに迎えに行ってくれと、聖女様が

おっしゃったので来てみれば、イチャイチャイチャイチャ・・・」

マーティアは魔力制御とともに上達していたサーチで2人が倉庫を出たのを

感知していた。


「すぐに護衛に戻りますよ!!」

ジュリア、激おこであった。


「わっ!!力、強っ!!」

リョウの襟首を掴んでひっぱっていくジュリア。

身体強化の効果がまだ効いているようである。


引きずられていくリョウを生暖かい目で見ながらグレイシアも後に

続くのだった。




「え?!ぷふっ!!」


「マーティア様、突然どうなさったんです?」

いきなり吹き出したマーティアに驚いてコリーヌが聞く。


「ジュリアさん、リョウ様にだいぶ怒っているみたいですね」

くすくす笑いながらマーティアが言う。


「そんなことまでわかるのですか?!」

さらに驚くコリーヌ。


サーチの感じ方は、レーダーのように対象が光点で頭の中にイメージされる。

その光点の大きさや光の強さ、色などで、ある程度識別が可能である。


マーティアがジュリアをリョウたちの迎えにだした後、サーチで様子を

見ていたところジュリアの光点がいきなり高速移動し、リョウの光点に

ぶつかった。

そして、リョウの光点がふっとんだのだ。


ジュリアがリョウを殴ったか蹴ったかしたに違いない。


さらに、ジュリアの光点がリョウの光点に接触した後、2つの光点が

重なってこっちに向かってきていた。


「ちょっと様子を見てみましょう」

マーティアはそう言って、コリーヌと一緒に廊下に出て窓ごしに外を見る。


「「ぷふふっ!!」」

今度はコリーヌも一緒に吹き出した。


リョウがジュリアに引きずられていたのだ。


「さすがのリョウ様も、乙女の怒りには勝てないようですね」

楽しそうに言うマーティア。


「その怒りの元を作ったのはマーティア様では?!」

マーティアの指示でコリーヌが、村はずれの倉庫の仕様許可や掃除、

干草やシーツなどの持ちこみを手配したのである。


「私はあくまで、もう1人の恋する乙女の手助けをしただけですよ」

マーティア、悪びれる様子がない。


「恋愛は自由ですから」


そう言うマーティアの微笑みは、まさに聖女であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ