174 水飴配給
「はい、ちゃんと並んで!」
「あなたは、エルビンさんちのアーネスくんね」
「こらっ、2回並んじゃダメよ!」
水飴作りをした女獣人たちは、村の子供たちに出来た水飴を2本の棒に
からませたものを配っていた。
商業ギルドの女職員は2度配ったり、貰えなかった子供がでないように
名簿でチェックしている。
リョウは少し離れた場所で手頃な石に座ってそれを見ている。
そう、リョウの要望とはこれであった。
昨日、水飴を配ったが、たまたまそこにいた子供だけにしか
配れなかったのが気になっていた。
そこで、水飴作成販売の契約の1つとして、成人していない子供
(この国では15歳未満)に水飴を無料で配ることを要望したのだ。
子供たちが水飴を貰って喜ぶ様子を眺めて癒されるリョウ。
そこに、1人の子供がやってきた。
「お兄ちゃん、水飴、ありがとう」
猫系獣人の女の子だった。
ちなみに、この大陸に猫はいないということなので何と言うのかと
聞いてみたら豹だということである。
しかし、リョウは心の中では猫獣人と言うことにしている。
その毛並みには見覚えがあった。
昨日、こぼれて顔についた水飴を舐められた子の1人だった。
「どういたしまして。今度から月に1~2回、貰えるように頼んで
おいたからね」
女の子の頭を撫でながら言うリョウ。
「お兄ちゃん、抱っこ」
この子、なかなかの甘えんぼのようである。
リョウは、女の子を横抱きにしてポンと膝の上に横座りにさせる。
「えいっ」
女の子の持っていた水飴がリョウの頬につく。
「あ、ついちゃった」
女の子は、そう言って水飴のついたリョウの頬を舐め始める。
というか、今、『えいっ』って言ったよね?!と思うリョウ。
「動いちゃダメ」
「うひゃっ!」
ザラザラの猫舌が痛痒い。
しかし、我慢して動かないリョウ。
スリスリ・・・
女の子は舐め終わった後、リョウの胸に顔を埋めてすりつけてきた。
どうやら、リョウはこの子に気に入られたらしい。
女の子の頭を撫でる。
思わぬところで癒されるリョウであった。
「う~~~~、リョウ、子供に甘すぎるだろ!」
ジュリアは、その様子を物見櫓から見ていた。
マーティアに頼まれ、村全体の作業と危険性の高い動物や魔物が村に
近づいて来ないか、監視していたのだ。
自分もリョウとイチャイチャしたいのを、この旅の間は無理だと
我慢しているのに・・・。
子供だからとわかっているが、モヤモヤの晴れないジュリアであった。
獣少女は迎えに来たお母さんと一緒に帰って行った。
お母さんは、水飴作りの女獣人たちと井戸端会議をしていたようだ。
「今回は、これが手間賃ということでお願いします。次回からは、
契約に基づいた賃金が支払われますので」
リョウは、水飴の入った壺を1つずつと銀貨2枚ずつを女獣人たちに渡す。
女職員には壺を2つ渡す。
「商業ギルド用の見本です。1つはギルド長さんに渡してください。
もう1つは職員の皆さんでどうぞ」
「ありがとうございます。必ず、ここの特産品にしてみせます」
女職員、なかなかのやる気である。
そして解散した後、リョウは昼食の準備の手伝いに行く。
肉体労働をした者も多いし、やはりここはガッツリ系かな・・・
何にしようかと考えるリョウであった。




