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168 カイラ

「手加減はしておきましたが痛みが続くようでしたら、夕方から聖女様が

広場でヒールをしてくれますので行って下さい」

リョウは、狼獣人を介抱している仲間らしい者たちに言う。


吹っ飛び方がちょっと派手だったが、獣人は人間より頭蓋骨が厚くて固いので

大丈夫だろう。その分、脳ミソがちょっと小さいのだが(笑)。


リョウたちは、結局、時間的に受けられそうな依頼はなかったので、

冒険者ギルドを出て市場を回ったりして残りの時間を過ごした。




さて、お待ちかねのヒールでドーン(笑)の時間である。


マーティアが広場でエリアヒールをやっている間、リョウは、聖女が借りている

村長の部屋で神使・タイガとして治療をすることになっている。


予定では、この村で神使・タイガが華々しいデビュー(笑)を飾るはずだったのだが

トリオール市でデビューしてしまったし、もうこのパターンでいいんじゃね?!と

いうことになったのだ。


今回の治療をする患者は、あらかじめ暗部の者たちが調べていた者をここに

連れて来る手はずになっているので、トリオール市のようにジュリアたちが

選ぶ必要はない。


選定基準は、不慮の事故や病気で障害があり真面目に生活している者となっている。

障害ですさんだ生活をしている者は救済の資格なしということである。

また戦争や冒険者としての仕事などでの障害は、当人の責任ということで、

あてはまらない。


もちろん程度の差などもあるので、最終的に暗部の報告を受けた聖女が判断した。


馬車でひどい目に会ったので今回の助手はジュリアである。


コリーヌたちがわざと言っていたのはわかっていたが、わかっていても

リョウは心の中の何かがガリガリと削られていくような感じがした。

というわけで、頼んで代わってもらったのだ。


コリーヌは部屋の外で受付と説明、グレイシアはコリーヌの護衛役である。




リョウたちが準備を整え、患者が来るのを待っていると、外がガヤガヤと騒がしく

なってきた。広場に村人が集まってきたようだ。


そして、部屋のドアがノックされ、コリーヌが最初の患者を部屋に案内する。

「こちらは、カイラさんです」


「カイラです、よろしくお願いします」

入ってきたのは、女の獣人であった。


頭にスカーフを巻いていたが、普通獣人ならスカーフに切り込みを入れたり、

巻き方を工夫して、耳を出すようにするはずである。

なのに頭をすっぽり隠すように巻いていた。


リョウは、渡されていた調査書類を見る。

彼女の年齢は21、狼獣人とのことだ。


「タイガです。そちらの椅子に座ってください」

握手をしながら、骨伝導でリョウも挨拶する。


「スカーフをとってもらってもよろしいですか」

座ったカイラに言うリョウ。


「・・・、はい・・・」

ためらいながらカイラがスカーフをとると、調査書類にあったとおり、

えぐられたような傷が左の頭部から左目にかけてある。

左目の機能は問題ないとのことだが、左耳は半分ぐらいなくなっていた。


7年前、3歳下の弟と一緒に森に薬草取りに行ったところ、ハンターに追われて

逃げてきたパープルベアに遭遇してしまい、弟をかばって爪の一撃を受けたと

いうことだ。


「今から治療をしますが、左右のバランスをとるために右の耳等も触ったり

しますので、ご了承ください」

骨伝導でそう伝えるリョウ。

獣人の耳に勝手に触るのはマナー違反である。


「は、はい、わかりました」

カイラは恥ずかしそうに言うが、仕方がない。


リョウ、今朝のトリオール市でのおっぱいに続いて役得で、ケモ耳フニフニである。


だから違うって!!!(リョウ、心の叫び)

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