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152 地方都市トリオール

休憩地点で昼食をとり、一行はさらに進む。


昼食のサンドイッチは、作ったシスターによって当たりハズレが

あったようだが、誤差の範囲だろう。


グレイシアは、おにぎりをあげられなかったからと、リョウからこっそり

ローストビーフサンドをもらってご機嫌で食べていた。


遅れて合流した護衛2人の分もちゃんと取ってあった。

隊長はそこまで食いしんぼでもなかったようだ。




そして、今日の宿泊予定地、ウィスラー領の領都トリオール市に着く。


市長は、ここウィスラー領の領主である伯爵で、暗部の報告によると、

ちょっと金に汚いがやるべきことはやっている普通の貴族だということだ。


聖教会もあり、ここでの救済活動は地元にまかせるということで、

今回は単に宿泊と補給で寄っただけである。


もっとも、単に寄ったといっても、寄られた地元の教会にしてみれば

教会の最高位の聖女様が来るのだから大変である。

しかも、来ると連絡がきたのが前日である。


もてなすどころか、何もしなくてよいとの連絡だが、そうはいかないのが

世の中だろう。

あわてて夕食と上質のワインを用意することになった。




聖女一行は、教会に向かって大通りを進む。


先触れを出したので、城門はすんなり通れたが、そのおかげで聖女様が

来られたと聞きつけた者たちが、道の両脇にいっぱいで、そのほとんどは

地面に膝をついて拝んでいる。


聖女に危害を加えようとする者などこの国にはいないが、他国からの

暗殺者がいないとも限らないので、リョウのサーチとジュリアの

視聴スキルはフル回転である。


というか、人が多すぎてサーチではわかりにくいので、ほとんど

ジュリア頼みである。


王都の演劇場でのパトリシア探しの時といい、本当に助かっている。

当人の希望とはいえ、こんな有能な人材を引き抜いた形になってしまった。

そのうち、ノーレッジ子爵家に対して何か埋め合わせをしようと

思うリョウであった。




そして、特に何も無く教会に着いた。


途中、聖女に救いを求める者が何人かいたが、『明朝、教会に来い』と

神殿騎士たちに言われて、引き下がったとのことだ。


「聖女様、ようこそいらっしゃいました。司教のアイラトです」

この教会の責任者であるアイラト司教が出迎える。


「お世話になります。マーティアでございます」

マーティアも挨拶をする。


「着かれて早々、申し訳ないのですが、領主のジャスティン様から

晩餐に招待したいとの申し出がありました」


今日、知ったとしては用意がよすぎる。

特に秘密にすることもないので、教会の誰かから漏れたのだろう。

もしかしたら、このアイラト司教が伝えたのかもしれない。

領主との関係がうまくいくことを考えれば、この程度問題ない。

ただ、ちょっと面倒だなと思っただけである。


「わかりました。着替えをしたいので部屋を使わせてください」


「ありがとうございます。お供の方々への夕食は、粗末ながらこちらで

用意させていただいておりますので」

断られずにすんで、胸を撫で下ろすアイラト司教。


部屋に案内されたマーティアは、リョウたちを控え室に待たせ、

暗部の者からの連絡を聞く。


「奥方の母親の体調がよくないと・・・?!」


「はい、聖女様に治療をしてもらいたいのではないかと思われます」

暗部の連絡員が答える。


「そうですね・・・」

少し考えるマーティア。


「予定より少し早いですが、計画を実行しましょうか」


楽しそうな、そしてちょっとだけ悪い笑顔をするマーティアであった。

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