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149 神殿騎士

盗賊たちは絶望するしかなかった。


聖教会は治外法権であるため、内部の治安の維持は自分たちで

やっている。

その治安の維持をするのが猛者揃いと有名な教会の神殿兵である。


教会、特に聖女を守るために、頭がおかしいのではないかと

言われるほどのきびしい訓練をしている。

もっとも、当人たちには当たり前になっているようだが。


なにしろ訓練で少々怪我をしようが、神官たちが治癒魔法ですぐに

治してくれるのだ。

重傷であっても、聖女様がいれば大丈夫だと思っている。


その神殿兵の中で選抜された者が神殿騎士である。

その強さは、王国の近衛兵にも優るとの噂で、軍隊ではないため

集団戦闘の訓練はしていないが、単騎での戦闘では最強と言われている。


彼らは馬に負担をかけないように重い鎧は着ておらず

代わりに黒一色の特殊な防刃効果のあるコートを着用している。

それは彼らの誇りでもあり、強さの象徴でもあった。


その黒いコートを着た者が6人である。

10人程度の盗賊など相手になるはずがないし、すでに2人が

あっさりとやられていた。


「降伏するなら、少なくとも命の保証はしてやるが、どうする?」

護衛隊長が降伏を勧告する。


そう言われて、盗賊の首領は脅していた中年の男の後ろに回りこみ

盾にする。

「うるせえ!!こいつの命がどうなってもいいのか!!」


護衛隊長は気にせずに他の盗賊たちに言う。

「お前らのお頭は、悪あがきをするようだがお前達はどうする?」


盗賊の首領と神殿騎士たちを交互に見る盗賊たち。


そして、


「こっ、降伏する!!命だけは助けてくれ!」

盗賊の1人が持っていた剣を足元に捨てて、両手を上げる。


「おっ、俺もだ!」

「俺も降伏する」


最初の1人に続いて、次々と降伏していき、結局抵抗する意思が

あるのは首領だけになった。


「おっ、お前ら!!」

首領が叫ぶが、盗賊たちは、すまなそうな目で見るだけだ。


「よし、お前達はそっちに集まれ」


護衛隊長に指示され、移動する盗賊たち。


「で、お前はどうするんだ?」


改めて聞かれて、回りを見回し、少し考えて決心する首領。


「わ、わかった、こ・・・」


カツッ


小さな音だったが、周りによく響く音がした。


そして、首領の額には角のように1本の矢が刺さっていた。


ボトッ


首領の持っていた剣が地面に落ち、首領は盾にしていた男に身体を

持たせかけるようにして、倒れていった。


「ヒィィィ・・・」

盾にされていた男が悲鳴をあげ腰を抜かして座り込む。


護衛隊長は矢の飛んできたであろう方向をみてつぶやいた。

「あそこからか・・・すごいな・・・」


そして、盗賊たちに向き直り、言う。

「残念ながら、時間切れだったようだ。お前達、間に合ってよかったな」




盗賊の襲撃現場から100mほど離れたところに、マーティアたちの

乗った馬車が停まっていた。


「人質をとっていた盗賊は倒しました。他の盗賊は降伏したようです」

馬車の外にいたジュリアが報告する。


そう、盗賊の首領を弓で射たのはジュリアである。

リョウによって身体強化されたジュリアにとってこの程度のことは

簡単であった。


「では、怪我人の治療に行きましょう」

マーティアが言う。


合図とともに、改めて一行は襲撃現場に向かうのであった。

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