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137 ジュリアとカテリーナ

数分前、ジュリアがカフェに来たところ、あちこちに怪しい者が

潜んでいた。


思わず身構えるジュリア。


「ジュリア様、心配いりません」

声をかけてきたのは、昨日の夕方に会った王女の護衛だった。

「これらは第3王女カテリーナ様の護衛たちです」


「王女様がいらしてるの?!」

周りに聞こえないように話すジュリアたち。


「はい、あちらのテーブルでパトリシア様と同席なさっておいでです」


言われた方を見れば、明らかに身分の高い少女がパトリシアと同じ

テーブルにつくところだった。


「あの方がカテリーナ様・・・ねえ、私もパトリシアのところに

行きたいんだけど、いいのかしら?」

ジュリアは少し考えて護衛に聞く。


「今回はお忍びですし、ジュリア様のこともお伝えしておりますので

どうぞ行かれてください」


「わかったわ、ありがとう」

そう言って、パトリシアたちのテーブルに近づいたジュリアの耳に

聞こえたのは、


『そうですね・・・彼の恋人ですわ』というカテリーナが言った言葉であった。





「カテリーナ様、おたわむれはご遠慮ください」


そう言ったジュリアを見たカテリーナ。


「あら!怖い顔。美人が台無しですよ」

何事もないように言う。

「ジュリアさんですね。カテリーナです」


「こここ、これはご丁寧に、ジュ、ジュリアです」

王女から先に挨拶され、我に返るジュリア。

『恋人』なんて言うので、つい語調を強く言ってしまったが、王女に対して

何ていうことを・・・後悔先に立たずである。


実は、カテリーナはカフェの入口で護衛が女性と話してるのに気づいていた。

護衛が話すということはリョウの関係者・・・報告にあった視聴感覚強化

スキルの持ち主であるジュリアだと思い、からかうためにわざと恋人と

言ってみたのだ。

結果、やはり聞こえていたようだ。


「まあ、お座りなさいな」

何事もないように言うカテリーナ。


「は、はい、ありがとうございます」

ジュリアのほうが年上なのだが、完全に呑まれてしまっている。


「何か注文しましょうか。昨日、リョウが教えたというサンドイッチは

注文できるか聞いてみて」

カテリーナがお付きのメイドに言う。


「かしこまりました」

メイドがウエイトレスのところに行って聞いたところ、まだ完成品では

ないが、それでよければだせるそうだ。

ということで、紅茶と合わせて3人前ずつ注文する。


「それで、ジュリアさんもリョウと一緒に行くのですか?」

カテリーナが聞く。


「はい、そのつもりですが」

ジュリアが答えたそのとき、


「あの、お2人の話を聞いていると、まるでリョウがボムリザードの

狩りをするみたいになってますが・・・?!」

パトリシアが聞いてきた。


「「 え?!! 」」


「リョウは、『心当たりがある』と言ったので、ボムリザードを安全に

狩れる冒険者を紹介してくれるのかと思ってましたが・・・」


ジュリアは思い返してみると、確かにそんな感じの会話だった。

どう説明しようかと考えてるところに、


「どうも~、お待たせしました」


リョウがもう1人を連れてやって来た。

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